10大学とシュプリンガーネイチャーがオープンアクセス出版の促進に関する合意書に署名
2022年11月7日、研究大学コンソーシアム(RUC)1のメンバーを中心とする10大学(東北大学、東京大学、東京工業大学、横浜国立大学、福井大学、大阪大学、神戸大学、岡山大学、早稲田大学、東京理科大学)の図書館長とシュプリンガーネイチャーは、ジャーナルの転換契約に係るパイロットプロジェクトに関する合意書2に署名しました。プロジェクトの期間は2023年1月1日から2025年12月31日と定められています。
このプロジェクトでは、「日本の学術研究の発展のため、研究コミュニティ内の格差を是正し、より多くの研究者にオープンアクセス(OA)論文出版の機会を提供すること」2、および日本からの研究の発信を増やすとともにその存在感を高めることなどを目指し、次の目標が掲げられています3。
- 日本のオープンサイエンスを推進する
- 日本の学術研究とその成果の世界的認知度を高める
- OA出版に伴う研究者のコスト負担を軽減し、より多くのOA出版を促す
- ジャーナル購読費用を軽減し、シュプリンガーネイチャー誌への継続的アクセスを保証する
本プロジェクトでシュプリンガーネイチャーは、同社の2,000誌以上における年間約900本のOA出版枠を参加大学に提供します。その結果、参加大学の研究者が対象ジャーナルでOA出版する論文数は、従来と比べて4倍以上に増えることになります3。
日本初の研究成果を世界に向けてよりオープンに発信することを促すこの取り組みでは、次のような効果が期待されています。
- 研究成果がOA論文として即時公開されることで、被引用数などの指標が高まり、各大学の国際的評価の向上につながる
- オープン化によって研究成果への一般市民からのアクセスも可能となり、オープンサイエンスの進展に寄与する
今回の取り組みについて、RUC幹事機関である自然科学研究機構の小泉周特任教授は次のように述べています。「今回、これだけ多くの大学が、世界的な出版大手のシュプリンガーネイチャーと協働し、世界に向けた日本発の研究情報発信のオープン化に取り組むことに合意した意義は大きいと感じています。今後、より多くの大学にこの取り組みに参画してもらえるよう努力したいと思います」3。
また、この取り組みには、高騰する電子ジャーナル購読料の問題への対応策の一環という側面もあるようです4。
【用語説明】転換契約:一般的には、論文の閲覧のために大学等が出版社に対して支払う費用を、論文出版のための費用(論文掲載料)へと段階的に転換させ、それによって論文のOA出版の拡大を目指す契約のことを指す。5
参考資料
1. https://www.ruconsortium.jp/
2. https://www.ruconsortium.jp/uploaded/life/729_2094_misc.pdf
3. https://www.springernature.com/jp/20221121-pr-1st-japan-ta-jp/23725324#
4. https://tuslibrary.admin.tus.ac.jp/2022/11/22/3997
5. https://www.flib.u-fukui.ac.jp/news/18987/
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