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オープンアクセス出版のメリット:誤解を解消する
[本記事はウォルターズ・クルワー(Walters-Kluwer)社の著者向けニュースレター、Author Resource Reviewに掲載されたものを、許可を得てここに再掲載したものです。]
オープンアクセス(OA)での論文出版に関心はありますか?ハゲタカ出版社が増加の一途をたどっていることで、OA出版は監視の目にさらされており、そのクオリティについての懸念が広がっています。何事にも言えることですが、OAを支持する人もいれば、批判的な人もいます。この記事では、OAにまつわるいくつかの誤解を解消しながら、OA出版のメリットを紹介していきます。
その前に、OA出版を行うにあたって、ハゲタカ出版社に捕まらないためのヒントを確認しておきましょう。
論文投稿先のジャーナルを決めるときは、そのジャーナルがDirectory of Open Access Journals(DOAJ)に登録されているかどうかをまず確認しましょう。コミュニティが運営するDOAJは、質の高い査読付きOAジャーナルがまとめられているオンライン・ディレクトリです。その他、論文を投稿するときに注意すべき点はたくさんあります。以下にそれらをまとめたので参考にしてみてください: 3-4
はじめに、信頼できるOA論文を扱うジャーナルは、以下の4項目すべてを満たしているはずです:
- Committee on Publication Ethicsのメンバーである
- Ulrich’s Web、DOAJ、Scopus(スコーパス)、Web of Science(ウェブ・オブ・サイエンス)などの著名データベースに登録されている(注: 著名出版社が新たに立ち上げたジャーナルが学術データベースやディレクトリに登録されるまでには時間を要するので、この点が問題となる場合は別途注意してください。)
- 査読プロセスや論文掲載料(APC)の請求に関する説明がある
- 参考文献のリンク付けや、出版済み論文の適切なアーカイビングなどの付加価値サービスを提供している
次に、以下の6項目のうち1つでも該当するジャーナルは危険と考えられるので、選択肢から除外すべきです:
- ジャーナルのウェブサイトやメールの文章に文法的誤りがある
- 編集委員会が存在しない、または、その出版社が発行する複数誌に同一人物の名前が編集者として登録されている
- ジャーナル名が特定の分野に限定されていない(より多くの投稿を受け付けるためです。)
- 「事務所」が小さく古びた建物であったり、私書箱の番号のみが記載されていたりする。あるいは、ジャーナル名の由来が不明、所在地が非公開
- 編集委員の中に架空の人物や組織が含まれている。または無許可で登録されている可能性がある
- 出版の条件が良すぎる。たとえば、異常に高い採択率とともに、迅速な出版が保証されている(この場合は要注意です!)
Do you have any questions related to writing and publishing your manuscript paper?
以下のリストは、Wolters Kluwer Open Health(WKOH)のメリットで、ゴールド/ハイブリッドOAのいずれにも当てはまるものです。WKOHに限らず、ゴールド/ハイブリッドOAモデルを導入しているジャーナルであれば、これらのメリットをほぼすべて提供しています。5-6
1. 研究の露出が最大化する
OAによって、査読付きジャーナルに掲載された科学・学術的資料や原著論文に、誰でも素早く無料でオンラインアクセスできます。OAコンテンツはオンライン上で永久的に無料公開されるので、読むことはもちろん、リンク付け、ダウンロード、保存、再利用や、その論文のデジタルコンテンツのデータマイニングも、一切の著作権/ライセンス面での制約を受けることなく行えます。つまり、世界中の研究者がジャーナルに購読料を支払うことなく、その論文にアクセスできるのです。ただし、OAコンテンツの商用・派生利用については、OAライセンス(クリエイティブ・コモンズ・ライセンス7)がいくつかの制限を設けています。また、OA論文が非OA論文よりも多くの被引用数を得ていることを示す研究結果も発表されています8。
2. 高水準の出版プロセスと厳正な査読
購読誌と同等の編集サービスおよびサポートを受けられます。ウォルターズ・クルワーでゴールド/ハイブリッドモデルのOA論文を出版する場合、査読と出版までのプロセスは、同社の購読誌やペイパービュー方式の論文の扱いと同様です。すべての論文は、各ジャーナルで定められた査読プロセスをたどります。ハイブリッドジャーナルでは、査読後の修正段階かアクセプト後に、OA出版にするか否かの選択肢が著者に与えられます。
3. クリエイティブ・コモンズによる著作権の保持
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスでは、論文の著作権は出版後も著者が保持します。このライセンスにはいくつかの種類がありますが、共通しているのは、出版された時点ですべての著者と読者にダウンロード、共有、再利用する権利が与えられるという点です。商用利用や派生利用を禁じているライセンスもありますが、それ以外のライセンスの制限は比較的少なめです。論文の投稿、査読、制作、出版、宣伝に伴うコストとしてAPCを請求するジャーナルが多く、この費用は合意のうえで著者、助成機関、研究機関、スポンサーが負担することになります。
4. OAマンデート(OAの義務化)の順守
多くのジャーナルと同様、ウォルターズ・クルワーのOAプログラム(ゴールド、ハイブリッドともに)も、OAマンデートと、適用されるライセンス要件を順守するための手段を著者に提供しています。OA論文はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス条項の下で公開され、論文の最終版はPubMed Centralに登録されます。したがって、OA出版を選択したすべての著者の最終版論文は、ウォルターズ・クルワーが代行してPubMed Centralに登録することになります。
5. 質の高い研究の広報/宣伝活動
WKOHは、質の高いOA論文を独自のジャーナル・プラットフォームで世界中に無料公開しています。WKOHで出版された論文は、無料の会報メールやコンテンツアラート、ホームページ、特集ページ、特別プロモーションを通じて宣伝されます。
6. 迅速な出版
多くのOAジャーナルの強みの1つが、迅速な出版です。ウォルターズ・クルワーがOAジャーナルに目標として設定しているターンアラウンドタイム(所要日数)は、論文投稿から初回判定までが21日、論文の受諾から出版までが35営業日となっています。
以上のすべてのメリットをふまえると、OAは論文出版のための素晴らしい方法であり、論文とその著者の露出は著しく高めてくれるものです。以下は、OAによって得られるものをより詳しく知るための重要ウェブサイトの一覧です:
OAに関する補足資料
- Creative Commons: 無料の法的ツールを通して創作物や知識を共有・利用できるようにする非営利組織
- Directory of OA Repositories: 学術OAリポジトリの著名ディレクトリ
- Directory of Open Access Journals: 質の高い査読付きOAジャーナルのインデックスやリンクを提供するオンライン・ディレクトリ
- Horizon 2020: 研究とイノベーションのためのEUのフレームワーク・プログラム
- National Institute of Health (NIH) Policy Details: NIHのパブリック・アクセス・ポリシーに関するよくある質問集
- Open Access Directory: 一般のOAコミュニティが管理する、科学と学術におけるOAに関する情報をまとめたディレクトリ
- OSTP Memo: 政府の助成を受けた研究を、原則発表後1年以内に一般に無料公開するという米政府の計画
- Research Councils UK (RCUK): RCUKによるOA方針の導入に関するレビュー(PDF)
- Scholarly Publishing and Academic Resources Coalition (SPARC):よりオープンな学術コミュニケーションのシステム作りを目指す、学術・研究機関の図書館による国際同盟
- SHERPA/JULIET: 研究助成機関のOA方針
- The Registry of Open Access Repository Mandates and Policies (ROARMAP): 大学、研究機関、研究助成機関が策定したOAマンデート/方針の増加数を示す検索型国際レジストリ
出典
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- Masten YB, Ashcraft AS. The Dark Side of Dissemination: Traditional and Open Access Versus Predatory Journals. Nursing Education Perspectives. 2016; 37(5): 275-277.
- The University of Queensland, UQ Library. Getting Published: Journal Articles: Get started: http://guides.library.uq.edu.au/getting-published accessed 2 September 2016.
- Wolters Kluwer Open Health FAQs: http://www.wkopenhealth.com/openaccessfaq.php accessed 25th August 2016.
- Bindon SL. Open Access: Opportunity and Awareness. Journal for Nurses in Professional Development, July/Aug issue, pp189-190 (2015).
- Creative Commons Licensing Types: https://creativecommons.org/share-your-work/licensing-types-examples/, accessed 25th August 2016
- Fang Z, Wang X, Liu C, Mao W. The open access advantage considering citation, article usage and social media attention. Scientometrics, 103(2), pp 555–564 (2015).
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