ESL著者向けアドバイス:学術翻訳サービスの効果的な使い方について

ESL著者向けアドバイス:学術翻訳サービスの効果的な使い方について

英語で文章を書いたり、文法規則や言葉のニュアンスをつかんだりする時間の余裕がない非ネイティヴ英語話者(ESL)の研究者にとって、翻訳サービスはかなり有益でしょう。なじみのある言語で論文の草稿を書き、翻訳サービスを利用して草稿を英語に直してもらうのです。
ジャーナルでの掲載を目指すESL研究者ならば、翻訳と編集両方提供してくれるパッケージサービスという選択肢もあり、翻訳済みの論文の言語チェックをしてもらったり、ジャーナル規程にもとづいて体裁を整えてもらうなど、選択が可能です。その課程で、最終原稿が掲載基準をみたすようにしてもらうこともできます。


翻訳者のスキルと経験に依存するところは大きいものの、製品を期待されるアウトプットに近づけるには、論文の著者からのインプット が重要な役割を果たしています。この記事では、最終原稿を掲載に向けて準備完了にするため、著者がどんなステップを踏むべきか、お話しましょう。



1. 用語集/用語リストを提供する

専門用語には翻訳が容易なものもありますが、翻訳された語が翻訳者によって違っていたり、ソースとなるテキストがどのくらい明確かによって異なったりする用語もあります。違いといっても微妙な差異であることもあれば (“expenditure incurred on drugs” vs. “drug expenditure”) 、極端に異なる場合(“measurement of corneal refractive power” vs. “keratometry”)もあります。専門用語を自分の好みの通りに、あるいは業界で使われている言葉遣いに合うように訳してもらうために、元の言語で書いた専門用語に望ましい翻訳をつけた用語集を提供するようにしてください。そうすれば、翻訳者はきっとそれらの用語を指示されたように使うでしょう。けれども、翻訳者やエディターが、著者が勧める翻訳が適切でない、あるいは正確でないと思えば、その代わり、より適した語を教えてくれるかもしれません。こうした提案を検討することが、著者にとってベストな選択です。


2. 最適なフォーマットでファイルを渡す

翻訳にかかる時間は文書のタイプによって変わります。もとの文書のフォーマットとしてMSワードが一番翻訳に向いたフォーマットです。同じファイル、フォーマットでコンテンツを翻訳でき、複雑な図/表の複製を防ぐことができるので、間違える可能性が減ります。PDF の場合は、翻訳者が別のフォーマット(一番よく使われるフォーマットはMSワード)へ変えなければなりません。これによって、翻訳にかかる時間が増えるだけでなく、翻訳する過程でコンテンツを見落としてしまう可能性も増えます。また、図や画像が別のフォーマットにあると簡単には複製できないので、翻訳者は、本文をどのように翻訳しなければならないか、説明する注釈を挿入しなければなりません。こうして、翻訳が出来上がり返却されるまでの時間が増えてしまうのです。


3. 明確な指示とリファレンス・ファイルを提供する

もとのテキストで翻訳しないでおく部分や、別の方法で取り組んでもらう必要がある部分があるか知っておくとよいでしょう。たとえば、パワーポイントのファイルにはプレゼンする人のノート(注釈)が含まれていて、翻訳してもらわなければならないかもしれません。あるいは、他の英語論文から引用した文がいくつかあり、それを翻訳する必要があるかもしれません。こういう場合は、一貫性を保つために英語の論文を参照する必要があれば翻訳者に知らせましょう。これは、翻訳者からは当然として期待されていることかもしれませんが、翻訳者の時間を重要視していること、そしてプロジェクト完成までのスケジュールを延ばさなければならないかもしれないことを忘れないでください。

 

4. 査読時間のためのバッファー

どんな翻訳プロセスにも反復は必要です。つまり、望ましいレベルに達するまでに、複数回のやり取りによるチェックが必要だということです。こうしたサービスを使う1つの利点は、使わないと英語での執筆にかけなければならない時間を節約できることですが、翻訳されたものを再検討するための時間、翻訳者に再検討してもらうのに必要な時間を残しておくことは重要です。考慮すべきポイントをいくつか挙げましょう:

1. サービスを利用するのは、少なくともジャーナルに投稿する2,3ヶ月前にしましょう。また、投稿予定日は翻訳会社に伝えておきましょう。

2. 完成した論文を徹底的に見直し、満足していない箇所や修正したい箇所に印をつける時間をとりましょう。問題点を知らせるためコメントを挿入(ワードのコメント機能を使い) することで、著者も翻訳者も時間をかなり節約できるでしょう。

3. 論文全体の質に自信が持てない場合も、悩むことはありません。気がかりなことは翻訳者に伝え、論文全体を再検討してほしいのはなぜか説明しましょう。論文のうちいくつかの節に自信がない場合は、その節だけを検討してもらいます。言い換えると、翻訳者に何を求めているか具体的なことを知らせるということです。



エディテージでは、翻訳と編集をパッケージにしたサービスを提供しています。詳しくはサイトをご覧ください。

 

 

 

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