学術論文での英文法と表現のミスを避けるためのガイド
英語が科学界の共通言語となっている以上、英語での論文執筆は研究者にとって避けて通れない道です。しかし、日常的に英語を使っているわけではない日本人研究者にとって、英文法などに配慮しながら論文の執筆に取り組むことは、荷が重い作業です。高度な厳密さと正確さが求められる学術論文は、内容をまとめるだけでも大変です。使い慣れない英語でそれを行うのですから、プレッシャーを感じるのも当然でしょう。
そして、たとえ研究内容が優れていても、英文法のミスや書き間違いが目に付く文章では、その良さが読み手に十分に伝わりません。最悪の場合は、原稿の却下につながってしまいます。そのような状況を回避するためにも、英文法と英語表現についての基本的なルールを身に付けておく必要があります。国際ジャーナルで求められる高い水準を満たさなければ、英語論文の出版は望めないのです。
英文法(時制、句読点)
英語で書くときに、どの時制で書けばよいのか悩むことはないでしょうか。論文で使う時制は、IMRaD形式の各セクションによって異なり、それぞれにふさわしい時制があります。たとえば、「イントロダクション」は現在形で書き、「材料と方法」は過去形で書くのが一般的です。とはいえ、例外もあるので、それぞれの場面で正しい時制を使いこなすことが重要です。以下の記事で、時制を使い分けるためのヒントを確認してください。
カンマの使い方もけっして侮れません。誤った使い方をすると、意味が変わって混乱を招く可能性があるからです。以下の1つ目の記事では、カンマの使い方に関する素朴な疑問とその答えをご紹介しています。2つ目の記事では、具体例を示しながらカンマの用法について説明しています。
質問: アメリカ英語では文末の"etc." の後にカンマをつけるか?
単語の選択・用法
言葉の使い方が間違っていると、読み手を混乱させ、誤解を与えてしまいます。そのような原稿をジャーナルに投稿すれば、直ちに却下の判定が下されてしまうでしょう。とくに、同じような意味を持つ言葉の混同には注意が必要です(例 effectとaffect、selectとchoose等)。また、例えばrightとlightとwriteは日本人にとって同音異義語ということになりますが、書き間違いを避けて正しく使い分けなければ、意味不明な文章が出来上がってしまいます。以下の記事では、具体的にどのような混乱が生じるのかを、例を挙げながら解説しています。
明快な文章を書くための語彙レッスン:混同されることが多い単語
学術論文における類語:e.g.、i.e.、namelyの違い
文体/スタイル
学術論文の執筆では、受動態も受動態もどちらも使えますが、専門家が推奨する使い分け方を知っておき、場面に応じて適切に使う必要があります。使い分けのヒントをこちらの記事でご確認ください。
論文を書くときに、一人称の「I」を使ってもよいのか迷ったことはありませんか?インフォーマルで非科学的という印象を与えるのではないかと、心配に思うこともあるかもしれません。そんなときは、こちらの説明が役立ちます。
科学論文では、ラテン語から派生した表現を使う場面が出てきます。ラテン語由来の表現についても押さえておきましょう。
大文字と小文字の区別も、覚えておきたいポイントです。大文字の使いすぎているケースがよく見られますが、これは、大文字とすべきところが小文字になっているミスよりも多いようです。執筆者を悩ませる大文字・小文字問題について理解を深めましょう。
これらの点に気を付けることで、論文の英語レベルが一段階アップするはずです。ただ、自分では気付きにくいミスや書き間違いもあるため、最後の仕上げとして誰かにチェックを頼むことをおすすめします。英語ネイティブの同僚にチェックを頼めればベストですが、そのような人が周囲にいない場合は、エディテージの論文出版支援サービスのご利用をご検討ください。
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