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修正原稿を提出するときのアドバイス/良い査読者になるためのヒント
[本記事はウォルターズ・クルワー(Walters-Kluwer)社の著者向けニュースレター、Author Resource Reviewに掲載されたものを、許可を得てここに再掲載しています。本記事は、サンドラ V. コトゥシス(Sandra V. Kotsis)氏とケビン C. チャン(Kevin C. Chung)氏の共同執筆によるものです。チャン博士(MD, MS)はジャーナルPlastic and Reconstructive Surgery誌のアウトカムセクションを担当する編集者で、ASPS Plastic Surgery Foundationの前会長でした。また、ミシガン大学メディカルスクール・アンアーバー校(the University of Michigan Medical School in Ann Arbor)の形成外科教授で、教務課副主任でもあります。チャン博士は、Plastic and Reconstructive Surgery、Hand
、Hand Clinics、 Journal of Hand Surgeryなどの医学ジャーナルから論文を出版しています。]長い時間をかけて一生懸命書いた原稿を第一希望のジャーナルに投稿したら、掲載拒否に――大多数の研究者は(ノーベル賞受賞者でさえ!)が、この失意の経験を味わっています。しかし、トンネルの出口には明かりが見えています。立ち上がり、あなたの原稿にもっと適した、新たな場所を見つけましょう。
掲載拒否の通知を受け取ったら、まずは査読者のコメントを読みましょう。次に、批評を自分の中で消化して感情的に反応するのを避けるため、2、3日間、査読コメントを見ないようにします。その後で、論文が掲載拒否となった理由を考えてみましょう。重要性に欠ける、あるいは研究デザインが不適切であるなどの「致命的欠陥」がありそうでしょうか? もしそうなら、査読付きジャーナルへの掲載は難しいかもしれません。原稿の改良に役立つようなコメントが査読者からもらえていれば、希望があります。原稿を修正して同じジャーナルに再投稿するにせよ、別のジャーナルに投稿するにせよ、論文を改良するためには、批判を受け入れなければなりません。同じジャーナルに投稿できる場合は、そのジャーナルの投稿規定に沿った形で修正を行う必要があります(例えば、新たに加えた文章には違う色のフォントを使用する、など)。査読者に返信する際は、各コメントを箇条書きにし、それぞれに対して原稿のどの部分を編集・訂正したのかを示すようにしましょう。査読者の提案するすべての変更に同意するわけではなくても、指摘には丁寧に対処し、なぜ変更するのか、あるいはしないのかを示さなければなりません。自分の意見には引用や分析を追加し、裏付けを強化しましょう。
査読者から役立つコメント(フィードバック)を得ることは、原稿を改良するために非常に重要です。この意味で、著者は、良き査読者となることも重要なのです。査読はその分野の第一人者が行うものとされているため、査読を依頼された原稿が自分の専門分野に合致しない場合は、査読を断りましょう。同様に、期日までに査読ができそうにない場合や、利益相反がある場合は、査読を断らなければなりません。編集者は、新規に投稿された原稿に絶えず目を通し、そのジャーナルにふさわしいか、致命的欠陥がないかなどをみています。そのジャーナルにふさわしくない、あるいは致命的な欠陥があると編集者が判断すれば、原稿は、査読前に即刻掲載拒否される可能性が高くなります。しかし、査読者の元に原稿が届いたら、さっと目を通して研究や論文の質を判断したいと思うはずです。質が低ければ、査読者は大まかなコメントだけを残し、正式な査読の前に書き直すよう求めるかもしれません。査読報告書の冒頭は、主要な結果や原稿の価値について完結にまとめると良いでしょう。その後で、主要な点、細かい点に分けて項目ごとにコメントを分類します。主要なコメントでは研究の妥当性を評価し、細かいコメントでは明確にすべきことや追加データが必要な点などを指摘します。論文を掲載すべきかどうかの判断は、編集者に任されています。査読の目標は、著者のために建設的なフィードバックを提供し、自分の仲間たちの努力を奨励することにあります。他人の研究を評価する査読者は、「どのような研究にも限界がある」ということを常に頭に置いておく必要があります。
掲載拒否の通知や批判的なコメントを受け取るのはつらいものです。しかし、原稿のためにも、あなたの科学者としての将来のためにも、否定的なことを肯定的なことに変換していくことが重要です。また、批判的なコメントを伝えることは、一も二もなく掲載拒否とするよりも時間がかかる分、大変であると言えます。誠実に査読を行うことで、自分自身の論文執筆スキルや研究デザインにも、磨きがかかって行くことでしょう。
Adapted from “Manuscript Rejection: How to Submit a Revision and Tips on Being a Good Peer Reviewer,” by Sandra V. Kotsis, MPH, and Kevin C. Chung, MD, MS. This article originally appeared in Plastic & Reconstructive Surgery, Vol. 133, Issue 4 © 2014 by the American Society of Plastic Surgeons.
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