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カバーレターを成功させるための秘訣
たいていのジャーナルでは、投稿論文ごとにカバーレターを添えて提出するよう求められていますが、不幸なことに、その実際の影響力に気づいていない著者が少なくありません。カバーレターは、ジャーナルの編集者とコミュニケーションを取り、投稿論文に関心を持ってもらう、非常に良い機会です。
ご存じのように、編集者のもとへは何百本もの投稿論文が殺到しているため、第一印象が良いことが重要です。
Nature Immunology の編集者によると、カバーレターは、「著者と編集者が対話を始めるきっかけ」であり、「編集者の興味を引くのに一役買っている」といいます。そのため、論文のタイトル、ジャーナル名、責任著者の連絡先のような基本的な情報だけを慌てて書いた、短いカバーレターでは、投稿論文にほとんど価値を与えません。そこで、カバーレターに書くべき重要事項をあげてみましょう。
- 論文のタイトルと責任著者の連絡先
研究知見の要約:研究で一番重要な結果を、わずか3、4文で要約しなければなりません。ここでは専門的な詳細は避けたほうがよいでしょう。現在発表されている文献の中に自分の論文を位置づけることを目的とすべきです。研究が強みにたどり着くためには、次の質問に自答してみましょう。
いかにして自分の研究は現在の知識を拡充しているか?
この分野において重要とされる論文の結果に対し、自分の論文は異議を唱えているか、それとも賛辞を呈しているのか?
この研究の新しい所は何か?
この研究は、将来の研究に対し、注目すべき示唆を与えているか?
投稿の動機:短い要約のあと、当該ジャーナルに対する自分の研究の適合性について一文加えること。
ジャーナルが扱う範囲とどのくらい合致しているだろうか?
読み手はなぜ興味を持つと思われるか?
倫理委員会からの承認:倫理的な問題が生じた時のために、カバーレターでは施設内審査委員会によって研究が承認されたかどうか言及しなければならないです。臨床治験の場合は、インフォームドコンセントが取られていることも述べ、登録・承認番号も記載すること(これを特別に要求するジャーナルもあります)。
- 利益相反:利益相反の可能性があるかどうか簡単に述べましょう。
オリジナリティと著者同意:最後に、論文が他のジャーナルでの発表を検討されておらず、一部あるいは全部を発表済みでもないことを明記すること。また、すべての著者が論文に目を通しており、当該ジャーナルへの投稿に同意していることも明記しましょう。
上の基本的な情報以外に、付加的情報を要求するジャーナルもある。これは、編集者が論文を概観するのに役立つだろう。この点に関しては、必ず、投稿するジャーナルの投稿規定を慎重にチェックすること
- 査読してもらいたい人・もらいたくない人:たいていのジャーナルでは 、査読プロセスの効率化を狙い、査読してもらいたい人、貰いたくない人をあげるよう勧めています。著者は査読者を賢く選び、互いの利益が相反せず、偏見なく価値ある審査ができるようにしなければなりません。同時に、利益相反を理由として、絶対に指名して「ほしくない」人もあげること。最終的な査読者の選択は完全に編集者にあり、あなたの提案を受けるかもしれないし、受けないかもしれない、ということは覚えておきましょう。
編集者の誰かと面識があるか:以前に交流(たとえば、ソーシャルメディアのフォーラムや会議で)があった時、編集者の誰かがあなたの研究に興味を示したならば、 カバーレターでその旨を明記すること。事と次第では、ジャーナルから特別の許しが出れば、カバーレターをその編集者宛にすることさえできるかもしれません。
競合する類似の研究:自分の研究が本当に草分け的な存在であり、別の研究グループがどこかで類似の結果を投稿しているかもしれないと思ったら、編集者に至急査読し返却してほしいと要望を伝えることができます。しかし、編集者が用心深くなるかもしれないので、実行するときは慎重に。
ここで述べたことはすべて、最初に投稿する時のカバーレターについてです。それでは、(査読者のコメントを検討した後)再投稿する際提出するレターには何を書いたらよいでしょうか?
再投稿時のレターには、最初の投稿時に提示した情報を書く必要はありません。その代わり、審査してくれた編集者へのお礼と、時間を割いてコメントしてくれた査読者へお礼を書かなければならないでしょう。査読者のコメント・示唆のすべてに同意しているかどうかを述べること。同意できないものについては、1つ1つ論理的に反論する必要があります。忘れないでほしいのは、カバーレターは、論文を売り込む絶好の、そして唯一の機会かもしれないということです。良く書けていて印象的なカバーレターは、あなたの論文を重視してもらうためのカギとなるでしょう。
カバーレターの書き方については、こちらのハンドブックもおすすめです。ぜひお手元に1冊置いてご活用ください。
A practical handbook of templates for communicating with the journal
カバーレター用テンプレート.pdf
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