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オープンアクセス:グローバルな動向
自由に研究にアクセスできるようにしようという試みに賛同する国がますます多くなり、オープンアクセス(OA) への動きはグローバル化しつつあります。
先日中国が、OAへ移行する国の仲間入りをしました。2014年3月15日、基礎科学への主要な資金提供機関である、中国国家自然科学基金委員会(National Natural Science Foundation of China;NSFC)と、中国でもっとも権威のある研究機関である中国科学院(Chinese Academy of Sciences;CAS)が、両機関に関係のある研究者は、自分たちの研究が掲載されてから一年以内に自由にアクセスされることを認めなければならない、と発表しました。興味深いことに、中国ではさらに多くの研究資金提供者が同様の方針を取る予定です。
ここ数年、中国では、OAが徐々に支持されている一方で、学術研究界に大きな変化をもたらしているかもしれません。中国からの研究発表数は、ここ何年かの間で倍増し、科学引用索引(Science Citation Index ;SCI)のデータベースを用いて算出されたデータによると、論文の合計数に占める比率は2003年の5・6%から2012年には13.9%に増加しています。また、OAへのこうした動きで一番重要なのはつまり、科学的知識という財産を世界の誰もが入手できるということです。ただし、自然科学の研究に自由にアクセスできる一方で、人文科学の研究はこの新しく公表された政策からはおそらく利益を受けないというマイナス面があります。それにもかかわらず、 OA への移行をきっかけに中国は新しい分野へ進出しつつあり、その1つが、BioMed Central で報告されているような、新しいオープンアクセスのジャーナルを創設するためのパートナーシップへの関心の高まりにあります。
こうした進展にもかかわらず、学術研究界では、OAに対するOAに対する懸念も表明されています。OAには、掲載のコストの高さ、質についての懸念、偽出版社や詐取目的の出版者の増加、といったさまざまな問題点がつきものです。けれども、OAの問題点より利点の方がはるかに大きく思われます。日本、アメリカ、イギリスを含めOA政策をとっている国の数からも、それがうかがえます。
2013年アメリカ政府は、連邦政府の資金による研究は、掲載後一年以内に自由にアクセス可能にしなければならない、と宣言しました。イギリス政府は2012年、掲載後速やかに研究への自由なアクセスを可能にすることに賛同しました。その後イギリスでは、主要な大学関連の資金提供者が、掲載が受諾された場合、学界は論文をオンラインのレポジトリに保管しなければならない、また保管された論文は後で(科学研究の場合は一年後、芸術・人文科学研究の場合二年後に)自由に入手できるようにすると発表しました。日本でも文部科学省が2013年4月から、日本の大学に承認・受理された、若手研究者による学位論文すべてがインターネット上で自由に発表されなければならないと述べ、OAを採用しています。
多くの国では、掲載後ただちに、ではなく禁止期間を置いたあとのOAを選んでいます。理由の1つに、直ちにオープンアクセスにすると、掲載する論文の独占権を出版社や学会が失いかねず、経済的に持ちこたえられないということがあります。けれども、科学の究極の目的は、人類の進歩であり、それは掲載後ただちに研究に自由なアクセスができるときにのみ、本格的に進められるのです。
結果として、現在は禁止期間を置いたあとOA を推進している国でも、掲載後直ちにオープンアクセスにする方向への移行を希望するかもしれません。というのも、ロンドンにあるウェルカム図書館のデジタルサービス部長ロバート・キリー(Robert Kiley)氏が言うには、「我々が資金提供する研究の可能性を十分に引き出す」唯一の方法が、それだからです。
オープンアクセスについて、また、オープンアクセスが研究と出版産業を変えていることについて、どうお考えか、みなさんの意見を聞かせてください!!
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