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同じジャーナルに論文を2本以上投稿する場合
論文に掲載されるかどうか、引用されるかどうかという高まるプレッシャーを受け、今日の研究者は、論文を投稿するジャーナルを正しく選択しているか非常に気にしています。近頃の若手研究者多くは、ジャーナル選択に関する、たくさんの疑問に直面しますが、その中の一つが次のような疑問です。
「同じジャーナルに論文を2本以上投稿したほうがよいだろうか?」
「それとも、できるだけ多く別のジャーナルに挑戦し、発表した方がよいか?」
「読者数や引用を最大にするのはどちらだろう?」
まず、いくつかのことをはっきりさせておきましょう。2本の投稿論文と言う時は、完全に別の論文2本という意味です。同じ論文を2回投稿する、非常に似た2本の論文を投稿する、ねつ造されたデータを使った2本の論文を投稿する、1本の論文を分割した論文を2本投稿する、これらが論外なのは明らかです。こうした行為はすべて非倫理的なので、行ってはいけません。
- ここでは、2つの異なる研究にもとづく本当の論文2本を指しています。互いに関連の深いテーマであることも、そうでないこともあるでしょう。問題は、こうした2本の論文を、同時期に同じジャーナルに投稿するのが賢明なのか、2つの研究は別々のジャーナルに投稿する方が好ましいのか、ということです。
- 厳密には、同時期に同じジャーナルに2本の論文を投稿することは、完全に可能です。実際、深く関連している研究や、1つの大きな研究のパート1とパート2のように一連の研究であった場合は、同じジャーナルでの発表が好まれるのが常です。そうすることで、読者は著者の研究について明確に理解することができるでしょう。
もし、2本の論文が完全に別のテーマであったら、両方の研究がジャーナルの対象領域に入っているかまず確認する必要があるでしょう。対象領域に入っていれば、同じジャーナルに投稿することが可能です。もちろん、たとえ投稿しても、2本は別の査読者に査読してもらうことになるでしょう。同時期に同じジャーナルに2本の論文を投稿している著者は多く、全く問題になっていません。
けれども、同時期に同じジャーナルに2本の論文を投稿すべきかどうか、については著者の間でも意見の相違が見られます。同時投稿を嫌う著者が理由として挙げているのは、以下の点です。
- 別々のジャーナルに一本ずつ論文を投稿することにより、広い読者層を得ることになると考えられます。できるだけ多くの異なるジャーナルに挑戦しそこで発表するのが望ましいです。このことは、たった一つのジャーナルの編集委員会にいる同じ人々よりもむしろ、広い層の学者に研究を受け入れてもらっているということを示しています。
- 最近は非倫理的な行為がはびこっており、指導教官や学部の誰かがたまたま編集を行っているジャーナルで発表しようとする人も多いです。研究を始めたばかりの若手の研究者の場合、発表がすべて同じジャーナルで行われているとしたら、たとえ潔白であっても、多少あやしいと思われてしまうかもしれません。もし、すでに様々なジャーナルでたくさんの発表をしていたら、たとえ同じジャーナルで2本以上論文を発表していても信頼性は疑われることはないでしょう。
こうした見方に対し、複数投稿には得もあると感じている著者もいます。そうした人達の言い分は以下の通りです。
- 1つのジャーナルへの投稿で一番よいのは、2本の論文で別々の独自のスタイルに従う必要がないということです。それにより混乱が避けられるでしょうし、体裁を整えるのも非常に簡単になるでしょう。そうすることで、時間と労力の節約にもなります。
- また、2つの別々の論文に対し編集者とやり取りしている間に、編集者との信頼関係をつくり、評判が上がるかもしれません。編集者がどのような仕事をしており、返答にどのくらい時間をかけるか、ずっとよくわかるでしょうでしょう。
- 別々のジャーナルに論文を投稿したからといって、広い読者層が得られるとは限りません。単に読者層を分裂させて終わったり、論文を書いた2つの分野でそれぞれの別の読者を得たりすることになるかもしれません。
同時複数投稿の長所と短所を挙げてきました。これらをよく比較して、どこに投稿するかを決めてください。この問題について何か他にご意見はありますか?
ありましたら、下記のコメント欄からぜひお送りください。他の研究者の方の役に立つと思います!
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