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「サラミ法」に隠れた危険:出版の量ではなく質を重視する
両方の問いに対する答えはノーです。編集者はこれらの例を1つの研究結果を非倫理的に分割し複数の論文に報告するサラミ法とみなします。
サラミ法とは何か?
サラミ法(salami slicing)とは一本の研究論文で報告できる大きな研究を小さい発表論文に分割する行為を言います2。言い換えると、一本の研究論文を発表可能な最小単位に分割して、それぞれの論文で同じ研究からの種々の研究結果を報告することです。一つ以上の論文に同じ母集団、方法、研究課題があるとき、それらの論文はまとめてサラミ論文としてみなされます3。
あるジャーナルの編集者がサラミ法の実態を説明するために以下の例を挙げました4。あなたはどれがサラミ法の例かわかりますか。
シナリオ1:科学者が新しい研究を開始。その研究者はデータ収集の為に、既存の器械より精密な新しい器械を開発する。メインである研究の完了には1年かそれ以上かかる。その科学者はメインの研究が完了する前に新しい器械を説明した出版用論文を投稿する。
シナリオ2:研究課題を決め、研究デザインを設定後、科学者は三つの参加者グループに関するデータを収集。グループのうち二つは異なるタイプの失語症を持ち(AグループとBグループ)、一つは管理グループである。科学者は二本の出版用論文を投稿する。一つはAグループと管理グループを比較したもの、もう一つはBグループと管理グループを比較したもの。
シナリオ2はサラミ出版とみなされるおそれがあります。全てのデータが一つの原稿で出版されるべきです。
- キャリアのひずみ:
サラミ法は「発表か、死か(publish and perish)」5文化から生じた、出版数を増やすために研究者が取り入れる手法として広く認識されています。短期間で見れば、サラミ科学は科学者や研究者が履歴書に膨大な数の論文を掲載できるおかげで本来よりも早いキャリアアップや、本来よりも多い助成金を受け取れるようになるかもしれません6,7。しかし、サラミ法はそれぞれの論文の価値を下げるため、長期間では害を及ぼしかねません。サラミ出版を行うことで長い論文リストを付け足せるかもしれませんが、もし委員会が研究本体を調査することになれば、彼らはその研究自体に十分な実態がないと結論付けるかもしれません。
- 科学への損害:
不要な出版と情報の繰り返しは文献数を増やすだけで、知識量を増やすことにつながりません。1つの研究対象グループから出た密接に関連するデータが数本の論文に分割されて発表されていたら、その複数の論文のうちの1つにしかアクセスしない読者は研究結果を誤って解釈するかもしれません。さらに言えば、重複する報告は1セットの研究結果に対し本来の価値以上の重要性を付与する原因となるかもしれません。例えば、冒頭に挙げた例の中で、産院の為の新しい治療処置についてのメタ分析をしている別の科学者は、この治療処置は一度ではなく二度研究されたと誤った想定をするかもしれません。
複数の論文に一つの研究を報告することは常に間違ったことなのか?
もとのデータセットが非常に大きい場合(例えば人口ベースの研究)や収集と分析に何年もかかるデータセットのような場合、著者には1本以上の論文にその研究を報告する正当で妥当な根拠があります6,8。しかし、各論文で明確かつ重要な課題を取り上げるべきです8。もしその研究が、ある1つの仮説をめぐり動機付けされデザインされたものならば、その結果はデータセットの大きさに関わらず1つのパッケージとして読者に提示されるべきです4。
もしあなたに、同じ研究にもとづいた複数の論文を投稿する正当な根拠が確実にあるならば、ジャーナル編集オフィスに情報が重複する可能性を、論文を投稿する前か、添付するカバーレターで確実に通知しましょう9。例えばある論文内の制御データが、別の論文の制御データ内にも含まれたり、同じ情報についてや密に関連したトピックについて以前に論文を発表したかどうかといった情報がそれに含まれますさらに、原稿内で全ての関連研究について言及しましょう。
結論
論文は、大きな研究の断片よりも1つの大規模な研究としての方が掲載の見込みは高いでしょう。論文の量ではなく、質を重視しましょう。履歴書の論文数を増やすためのサラミ法は、単に後々あなたの研究キャリアを妨げる結末にしかならないかもしれません。
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動画コンテンツ:サラミ法の危険性
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