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英語論文を書くのに役立つ辞書
文章を書くために重要なのは、正しい単語を使うスキルです。学者や研究者は膨大な語彙を知っています。研究に長い時間をかけなければ、その分野の専門用語は習得できません。とはいえ、論文を執筆する際、学者を悩ませるのは専門用語ではありません。本当に難しいのは、専門分野に関係なく、ほとんどのジャンルに共通する一般的な単語の使い方にあります。『Oxford Learner’s Dictionary of Academic English』 [1] は、一般的学術用語(general academic words)と呼ばれるそうした単語に焦点を当てています。この辞書は、自然科学を含む様々な分野で英語を使用している研究者に向けて作られています。「研究論文での言葉の使い方を集中的に学びたいという読者のニーズに答える」ために作られた辞書なのです。
『Oxford Dictionary of English』 のような大型の卓上辞書は総合的な辞書を目指しており、35万以上の単語を収録しています。収録語数が2万2千くらいの辞書は専門辞書(selective dictionary)にあたります。『Oxford Learner’s Dictionary of Academic English』の収録語数は約2万2千単語で、主に物理学、生命科学、社会科学、人文学の4つの分野から選ばれています。通常の辞書にあるような単語の説明のみならず、シソーラスや「文法上のポイント」、「言葉銀行(language bank)」、「どちらの単語?(Which word?)」といった見出しで、役立つ情報がたくさん掲載されています。たとえば、「どちらの単語?」では、generallyとcommonly、narrowとthin、principalとprincipleといった単語の区別が詳細に説明されています。
辞書というものは基本的に単語を扱うものなので、個々の単語を詳細に説明しています。一方、エッセイや抄録(アブストラクト)、文献レビューといったアカデミック・ライティングでは文章の熟達が必要とされます。48ページもの付録が付いている『Oxford Academic Writing Tutor』 が役立つのは、こういう場面です。この付録には、さらにインタラクティヴな『Oxford Academic iWriter』という CD-ROM が付いています(辞書コンテンツも収録)。このCD-ROMディスクには、見本の文章や文章を構成する際のアドバイスが入っており、エッセー、事例研究、論文などを執筆する際に大変、有益です。こうした特色によって、この辞書は2014年に英語および英語指導における技術革新に対して贈られる「エディンバラ公英語書籍賞(Duke of Edinburgh English Language Book Awards)」の最終候補にノミネートされました。
[1] OUP. 2014. Oxford Learner’s Dictionary of Academic English. Oxford: Oxford University Press.
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