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質問: ハゲタカ論文の投稿後のトラブルについて
ハゲタカジャーナルの罠にかかってしまったのだとしたら、大変残念なことです。ハゲタカジャーナルの偽装は、ますます巧妙化しています。典型的な手法は、法外な取り下げ料を要求して、取り下げを拒否する(もしくは簡単には取り下げをさせない)というものです。それに続いて、スーパーバイザーや所属先に知らせると脅してきたり、不快な電話やメールを寄越してきたりすることもあります。最悪の場合や、こちらが降参しない場合は、投稿した論文が公開されてしまうこともあります。そうすることで、ほかでは論文を出版できなくなり、偽ジャーナルで出版されたことによって、学術的な価値がほとんどなくなってしまうからです。
対応策は、ハゲタカジャーナルであるとこちらが認識していることを、向こうが知っているかどうかによって異なります。ハゲタカと認識していることを向こうが気づいていなければ、そのままのスタンスを保ちましょう。そして、上司がその論文を気に入っていないとか、修正すべき点がたくさんあることに気づいたとか、共同研究にしたいなどの理由を付けて、論文の取り下げを試みましょう。こちらが屈しないでいれば、強引な態度はそのうち収まってきます。もちろん、スーパーバイザーや所属先には事情を伝えておき、不快なサプライズとなってしまうことがないようにしましょう。また、伝えることによって、助けてくれることもあるかもしれません。
ご質問の核心ですが、残念ながら、ハゲタカジャーナルとのトラブルについて相談できるような専門の組織はありません。怪しいジャーナルを避けるためのチェック項目をまとめていたり、質の良いジャーナルと質の低いジャーナルをリスト化していたりする組織はありますが、あくまでも手引きや情報の提供を行なっているのみで、仲裁をしてくれるわけではありません。出版規範委員会(COPE)も、ガイドラインを用意し、ケーススタディを紹介しているのみです。
とはいえ、一度、Cabellsをチェックしてみてください。この組織は、質の良いジャーナルを見極め、質の低いジャーナル(完全な偽ジャーナルではないもの)に手を差し伸べて少しずつ品質を向上させる取り組みを行なっています。
また、Think.Check.Submitもお勧めします。ただしここも、情報とチェック項目を紹介しているのみです。
さらに、ハゲタカ出版に関する知識を得るために、私たちのリソースにもぜひ目を通してみてください。下記に、参考になるものをご紹介します。1つは、最近Cabellsと共同で執筆したものです。