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細菌の学名の表記スタイルに関するアドバイス
学名とは、正確に同定するためのラベルです;情報という金庫室を開けることができる「鍵」なのです。検索エンジンで、ある生物の普通名詞(common name)を入力したときと、学名(scientific name)を入力したときで、検索される情報の種類を比べてみましょう。鍵のたとえがまったく適切であったことに気づくでしょう。
前の記事「学術論文における生物の学名表記に関する4つのアドバイス」 について取り上げましたが、今回は細菌に焦点を当てます。細菌の名前は、国際細菌命名規約(International Code of Nomenclature of Bacteria)で定められています。
接続詞:
一般に、細菌名のスタイルは、動物名のスタイルより植物名のスタイルに近いと覚えておくと役に立ちます[1]。たとえば、植物名において、著者の名前に二名式(訳注:属名と種名とを並べてあらわしたもの)が付け加えられた場合、2名の著者がいるときは接続詞and
亜種の分類群:
種は亜種(subspecies)に分けられることがあります(亜種の省略形は"subsp." ですが、その場合はイタリック体になりません)。亜種の名前は種形容語(訳注;属名と種形容語で書かれた学名の2番目の語)でもあり、イタリック体で書きます。Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌)の場合は、subsp. aureusと書きます。
細菌分類(学)では、亜種のレベルより下にその他の階層(あるいは分類群)があります。血清型(serovar)、病原型(pathovar)、次亜種(biovar)です。省略形のcv. (品種(cultivar)、あるいは さまざまな品種(cultivated variety)) は、植物名にはもはや使われていませんが、省略形pv. (pathovar) は、細菌名では認められています。(上で挙げた規約は、亜種の分類群を扱っているわけではありません; pv. の使用は、国際植物病理学会が推奨しています。)
血清型(Serovar)は、血清学的な異型(抗原としての行動や反応において異なる)に言及するとき使われます。変種(variety)については、古い書き方の接尾辞type をつけていたのが、接尾辞 varに変わっています[2]。
スタイルに関する多くの点が、集団によって違っています。
AMA Manual of Style では、これらの点の多くを詳細にわたり取り上げています[3]。
省略形:
ちなみに、subsp. やpv. のような省略形の後にドットをつけるかどうか、というのはスタイルの問題です: たいていのスタイルガイドではドットがついていますが、AMA Manual of Style はドットを省いています。
[1] CSE, Style Manual Committee. 2014. Scientific Style and Format: the CSE manual for authors, editors, and publishers, 8th edn, p. 401. Wheat Ridge, Colorado, USA: Council of Science Editors. 722 pp.
[2] Piqueras M and Guerrero R. 2013. Bacteriological nomenclature, pp. 59–62 in Science Editor’s Handbook, 2nd edn. edited by P Smart, H Maisonneuve, and A Polderman. Redruth, Cornwall, UK: European Association of Science Editors. 231 pp.
[3] AMA. 2007. AMA Manual of Style: a guide for authors and editors, 10th edn., pp. 748–753. New York: Oxford University Press [and American Medical Association]. 1010 pp.
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