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p値を正しく使おう:生物医学研究者のためのミニガイド
p値は、生物医学研究でもっとも一般的な統計データです。仮説検定では、帰無仮説に対する証拠の強さの尺度であり、帰無仮説が真であった場合に結果が得られる可能性がどの程度あるかを示すものです。つまり、p値が読者に伝えるのは、集団間の関連性や差異などが、偶然によるものなのか調査している変数によるものなのか、ということに限られます。
研究では通常、p値(.05、.01、または.001)のカットオフ値(有意性の閾値)を決めます。得られたp値がカットオフ値を下回れば、付随する結果は「統計的に有意」と見なされます。
p値は頻繫に使われますが、論文で有用かつ強固な証拠を示せるよう、慎重に使う必要があります。p値を報告するときのポイントをまとめました。
具体例でみるp値の使い方
こちらの「良くない例」をご覧ください。
良くない例: We found a significant relationship between dietary fiber intake and systolic blood pressure (p < .05).
(食物繊維の摂取量と収縮期血圧の間に有意な関係があることが分かった。)
解説: この一文から分かるのは、この関係が偶然によるものである可能性が低いことだけであり、関係の強さやその方向性は分かりません。つまり、食物繊維を多く摂取する参加者は収縮期血圧が低かったのか高かったのかは分かりません。
解決策: 上の文の末尾に括弧書きで「r = -.78」と追加すれば、強い逆の関係であることが分かり、実際の研究結果をより正確に伝えることができます。
もう一つ例を見てみましょう。
良くない例: We found a significant difference in mean HbA1c levels between the smoker and non-smoker groups (P < .05).
(喫煙者集団と非喫煙者集団の間の平均HbA1c値に有意な差が見られた)
解説: この差とは、実際にどれくらいの大きさなのでしょうか。たとえば、0.1 未満の差なら、喫煙状況はHbA1c値の有意な差を説明していないことになります。また、差の計算にどの統計テストを使ったのかも不明です。
解決策: 2つの集団の実際の平均HbA1c値を示し、検定統計量(t、Fなど)も述べます。
上記の例から分かるように、結果が実際には役に立たないものでも、統計的には有意な場合があります。「統計的に有意」とは、必ずしもその結果が臨床的に意味がある、または実用的な観点から重要である、ということを意味するものではないのです。p値は、研究結果についてある程度のことは伝えられますが、質の高いエビデンスに基づくインパクトある論文に仕上げるなら、p値以上の内容を報告する必要があります。
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