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時制を正しく書きましょう!「研究材料」と「研究方法」の場合
前の記事で 研究論文における時制の使い方を取り上げました。ここでは話を少し広げて、個々の節での時制の使い方を説明します。
「序」では、論文で述べる研究を行う理由を説明するため、現在形がよく使われます。そのテーマについて現段階でわかっていることも述べるので、現在形が一番自然な時制なのです。
「研究材料」と「研究方法」は、何をどのように行ったか述べる節です。執筆の時点ではすでに完成されている研究について述べるので、過去形を使うのが自然です。これらの節では著者が行ったことを記述するだけです。
まず、研究材料の選択から書き始めます。たとえば農業研究では、研究で選んだ作物、特定の品種あるいは交配種、使用した肥料の種類と量、(もし使用したのであれば)農薬などについて書くのが普通です。“The rice variety IR 8 was chosen for the experiment(「実験ではイネ品種IR8を使用した」)” とか“For the analysis, ripe fruits of the following six apple varieties were chosen(「分析にあたり、以下の6品種のリンゴから完熟した果実を選んだ」)”のように書きます。見てわかるとおり、単純過去が自然な選択です。
“the seeds had been exposed to ultraviolet radiation for 4 hours before sowing(「種をまく直前4時間、種に紫外線放射をあてた」)”というように、実験手続きの最初のほうの段階を記述するために、過去完了時制が必要なときもあるかもしれません。
研究材料と研究方法の節は、著者の行為についての説明であり、意図について説明したものではないので、未来時制では不自然です。反対に、「考察」では終わりに近づくにつれ、研究の結果から示唆される今後の行動指針を示すことが普通なので、未来時制で書くのが自然な選択になります。
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