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学術論文における単語選択:almost と nearlyの違いは?
ある特定の語の意味を知るためには、辞書を調べるのが普通です。辞書には、the Oxford Dictionary of Englishのような一般的な辞書と、専門用語や、特定の知識領域(植物学、経済学、腫瘍学など)で典型的に使われる語を調べる専門的な辞書があります。似たような意味を持つ単語対、単語群から正しい語を選ぶには、類義語辞書にたずねることもあります。けれども、あまりに意味が似すぎていて、ほとんど取り替え可能な語もあります。
Almost とNearly はそうした単語対の一つで、この場合辞書は役には立ちません。 Oxford Dictionary of English でどのように定義されているか、紹介しましょう。
Almost: not quite, very nearly
Nearly: very close to, almost
ヨーテボリ(Göteborg)大学のヨーラン・シェルメル(Göran Kjellmer)氏は、この2つの語がどのように使われているかを分析することにより、違いを発見しようとしました。その結果、この2つの語は意味においては違いは見られないが、コロケーション(ある語の隣接語は何か、つまりある語の次に来る典型的な語は何か、ということに注目すること。訳注 日本語で言うと、語と語のつながり)においては違っていることがわかりました。
また、その違いは非常に疑う余地のないものであることがわかりました。
つまり、「almostは副詞(almost certainly)、形容詞(almost impossible)、代名詞(almost anything)、前置詞(almost by definition)が後に続くという特徴があるのに対し、nearlyは同様に、数字(nearly 200 people)が後に続くという特徴がある」
2つ目に、almost は否定語とは一緒に使いません。
つまり、"A is almost as good as B" や "A is nearly as good as B"と言うことはできますが、"A is not almost as good as B" は英語らしくありません----"A is not nearly as good as B"と言う必要があります。
[1] Kjellmer G. 2003. Synonymy and corpus work: on almost and nearly ICAME Journal27: 19-27 <http://icame.uib.no/ij27/kjellmer.pdf>
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