研究論文だけを書くのはなぜ?もっと幅広い読者に向けて書いてみよう

研究論文だけを書くのはなぜ?もっと幅広い読者に向けて書いてみよう

Scientific American やNew Scientist のような科学雑誌には、インパクト・ファクターがありません。けれども、これらの雑誌で論文を発表した場合の影響力は、非常に大きなものになるでしょう。たとえば、 Nature の発行部数が53000部であるのに対し、National Geographic はアメリカだけで発行部数は400万部を超え、Popular Scienceは130万部を超えています (数値はWikipediaより引用)。

 

自分の研究について一般の人にもっとよく知ってもらうのが義務であると思っている研究者もたくさんいます。研究者として、自分の研究についての論文を科学雑誌向けに書くことにチャレンジしたいならば、必ずお役に立つと思われる本をここで簡単にご紹介しましょう。The Science Writers’ Handbook [1]です。

 

この本は、アメリカで活躍中の30人を超えるサイエンス・ライターが書いています。3つのパートに分かれていますが、エディテージ・インサイトの読者の皆さんが関心を持つと思うのは第1パート『熟練したサイエンス・ライター(‘The skilled science writer’)』です。論文のアイデア探しから雑誌のエディターとの協力にいたるまで、科学論文を書く技術について説明しています(研究論文の執筆は別として)。

第1パートには、本の執筆に焦点を当てた章もあります。文章を書くということは極めて実用的なことです。たとえば、ある章では、鉛筆かペンを紙の上に置いて、それを「たとえよだれが出ようとも、一定の時間動かし(‘moving for a set amount of time no matter what drivel emerges’)」続けるようにとアドバイスしています。もちろん、紙に鉛筆を置くかわりにタイプで打ってもかまいません。この本には、科学ジャーナルの仕事を垣間見るという魅力的なページもあります。たとえばNatureは、どんな雑誌であっても、水曜日の東武標準時間で午後1時より前に、Natureの最新号に掲載された論文にもとづいた記事を掲載しないよう、求めています。Scienceの場合は、 こうした解禁日は木曜の午後2時です。

 

『物語を造る(‘Sculpting the story’)』という章では、典型的な雑誌記事の分析が行われています。 その構造は、典型的な研究論文のIMRaD構造にしか慣れていない人にとっては、驚きにあたるかもしれません。典型的な研究論文に序(Introduction)、材料と方法(Materials and methods)といった落ち着いた感じのパートがあるのに対し、雑誌記事にはリード、デック(dek;訳注 ヘッドラインの下にあり文章をまとめたもの)、広告記事があるものもあります。

 

科学的な文章に挑戦しようと思ったら、この本や、the National Association of Science Writersのサイト (特に、especially the section ‘New to science writing?’ [2]のセクション)、 A Field Guide for Science Writers [3]が、出発点としては最適です。

 

[1] Hayden T and Nijhuis M (eds). 2013. The Science Writers’ Handbook: everything you need to know to pitch, publish, and prosper in the digital age. Boston, Massachusetts: Da Capo Press [Perseus Books Group]. 308 pp.

[2] www.nasw.org/articles/new-science-writing

[3] Blum D, Knudson M, and Henig R M (eds). 2006. A Field Guide for Science Writers, 2nd edn. New York: Oxford University Press. 321 pp.

 

 

学術界でキャリアを積み、出版の旅を歩もうとしている皆様をサポートします!

無制限にアクセスしましょう!登録を行なって、すべてのリソースと活気あふれる研究コミュニティに自由に参加しましょう。

ソーシャルアカウントを使ってワンクリックでサインイン

5万4300人の研究者がここから登録しました。

便利さを実感して頂けましたか?

あなたの周りの研究者にもぜひご紹介ください


このコンテンツは「論文の出版後」ステージに属しています。

論文が出版されましたか?無料の個別コーチングで今後の対策を立てましょう。