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まだ発表されていない最先端の研究をひそかに読むことができる私は恵まれています
英文校正エディテージのシニア英文校正者を務めるスナイナ・シンを紹介します。PhD保持者の彼女は、自身の著作も出版しています。 インドのパンジャブ農業大学作物学部を卒業後、ニューデリーにあるインド農業研究所で植物遺伝資源の修士課程を専攻しました。そこでは修士論文のテーマである分子マーカーを用いたインド産マンゴーの生殖質の遺伝的多様性の分析を行いました。その後も研究を続け、マンゴーの木の地理的・遺伝的際についての研究を深め、博士号を取得しました。
学術論文出版の世界に入ろうと思ったきっかけは何ですか?
学校、大学を通じ雑誌の編集委員会に参加していました。また、アカデミックな世界を経験する中で、同級生の論文や学位論文の校正を手伝うこともしばしばありました。語源学や分類学に魅了され、ある時、間違えて書かれた分類群は、単語のスペルを間違えるのと同じくらい気になるということに気づいたのです! 英文校正への愛は、その頃から始まっていたんだと思います!
博士号を取った後の方向性を決める時、ポスドクの研究員や教育にも手を出しました。その後は結婚し、新しい町に引っ越しました。けれども、ムンバイで研究職に応募した時、自分の天職は違うどこかにあるのでは、と感じたのです。英文校正エディテージで働くようになって、いわば「実験台から離れた」仕事がしたかったのだという気持ちを強めました。
エディテージでは生命科学部門を担当していますね。そこでの経験は、執筆・編集・論文発表に対してのアプローチにどういった影響を与えていますか?
私とエディテージの付き合いは、フルタイムのエディターとして始まりました。
その後、フリーの学術関連の英文校正者になってからも会社との関わりは続いています。1年間は社内エディターとして、2年間を生命科学チームのフリー・エディターとして過ごしました。仕事を通じて、一貫性の維持、正確かつ推奨される科学的表現、査読者が論文内で批判あるいは称賛する諸側面などについて、多くを学びました。
ご自身の著作もありますね。優れた上手に構成された論文を書くには、何に注意したらよいか、そのご経験をもとに教えてください。
すぐれた論文とは、簡潔・明快で、回りくどい言い方をせずメッセージを伝えているものです。それは読者を容易に引き込む論文でなければなりません。
科学ライターとして高く評価されているカール・ジンマー(Carl Zimmer)は、「言いたいことは10語以下で述べること。それができないのなら、書こうとしていることがまだわかっていないということだ」と言っています。
論文執筆に取りかかる時には、批判的に考えましょう。正しい疑問を持ち、それに対して、いかに答えるかを考え、答えを明快に伝えるためにベストを尽くすのです。「序」は読者がこれから出かける旅の地図のようなものでなければなりません。また物語の終わりは、未来を見つめるものにするべきでしょう。
一貫した、流れの良い文章に加えて、研究の本質をつかんだ明確な画像と表が極めて重要です。
著者として、掲載された論文のジャーナルの投稿先はどのように選びましたか? 読者向けに、ジャーナル選択についてのアドバイスをいただけませんか?
論文を発表したのはまだ学生の頃のことです。実を言うと、いくつか非常にインパクト・ファクターの高いジャーナルに論文を却下されたこともあります。けれども、学位論文の指導教官や共著者から励ましや指導をたくさんいただいて、こつこつと努力して投稿までのプロセスを進めました。そして最後には、私の研究と関連の深いジャーナルに論文が掲載されたのです。大切なのは、ジャーナルに掲載される論文にどんな傾向があるのか、追いかけることだと思います。
ソーシャル・ネットワーキングが盛んな今の時代、ツイッターのようなプラットフォームを通じて、ジャーナルの最新情報を追跡するのはよい考えです。
お客様との間で何か忘れられない出来事があったら、教えてください。
私の行った英文校正に非常に満足してくれたこと、英文校正をした論文がお客様が選んだジャーナルで受諾されたことを、そのお客様が連絡して伝えてくれた初めての時には、心から光栄に思い、高く評価されていると感じましたね。お客様が特別に私のサービスを指名してくれた時の喜びといったら、それは大きなものでした。
仕事をしていない時はどんなことをして過ごしていますか? 履歴書には「教えること」と書いてありました。
はい。短い間ですが、2010年にムンバイ大学で教鞭をとっていました。生命科学の大学院生に分子生物学の講義をしていたのです。けれども、それ以前にも、博士号を取ろうとしていた頃も、教えることや生徒を指導することに夢中でした。
ニューデリーにある植物遺伝資源局が行う「DNA指紋法と作物生殖質の保存」という訓練プログラムにも関与していました。そこでは、実験スキルをデモンストレーションするという実践的な授業を受けていました。
他に関心があるのは、読書とガーデニングです。また、単語パズルやクロスワードも好きです。私の夫も、自分の専門とは全く違うのですが、言葉に対する私の興味を理解してくれています。実は、語彙や文法をめぐって口論になることも、よくあるのです。
お客様にメッセージを!
まだ発表されていないみなさんの最先端の研究を、ひそかに読むことができて、私は恵まれていると思います。英文校正を行う時は、論文を高められるよう出来る限り努めています。皆さんの価値ある発見をうまく伝えることが、入念に徹底的に行われた研究に対する何よりの報酬だと思うからです。みなさんが生命科学研究に対して重要な貢献を行っていることには深い感銘を受けます。
論文を校正していると、月並みな語り口や使い古された文句に出会うこともよくあります。すぐれた科学論文を読むことで、こうした文章を避けることができ、研究知見を表現し議論する多様な方法を獲得する機会も増えます。そのために、自分の専門分野のジャーナルだけでなく、一般向けの科学雑誌やThe Best American Science Writingシリーズのようなアンソロジー・概要(全書)も読むことをお勧めします。ビル・ブライソン(Bill Bryson)、デイヴィッド・クォメン(David Quammen)、リチャード・ドーキンス(Richard Dawkins)といったすぐれた科学ライターの本を余暇の読書として読んでみてはいかがでしょう? 毎日の日課に読書の習慣を組み込むことで、ライティングスキルが強化されるはずです。
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