ポスドクが指導教官(PI)を選ぶための7箇条

ポスドクが指導教官(PI)を選ぶための7箇条

ポスドク期間は、独立した科学者としてキャリアを歩むための準備期間と言えます。しかし、膨大な研究者の数に対する職の受け皿が小さいため、現在の学術界には熾烈な競争が存在します。そのため、有意義な学習経験を積み、充実したポスドク期間を経てステップアップするためには、優れた指導教官を見つけることがかつてなく重要になっています。


過去の記事では、ポスドクのキャリア形成を指導教官がどう支援できるか

について取り上げました。今回は、ポスドクの職を得るに当たり、十分な情報に基づいて選択する方法を紹介します。指導教官(PI=Principal Investigator)の選択は、ポスドクとしてキャリアを成功に導くための重要な第一歩です。


学位取得の1年前からこのプロセスを開始すれば、情報収集に十分な時間を確保でき、候補となるPIを確実にリストアップすることができるでしょう。PI探しでは、以下の点を考慮しましょう:


1. 関心のある研究分野を選ぶ:関心のある研究分野やエキサイティングな研究テーマを選ぶことは、PI探しをする上でもっとも重要なプロセスと言えるでしょう。PI候補者の研究業績を調べ、今後の研究プロジェクトの予定などを聞いておけば、その研究室の研究トレンドを掴むことができ、自分の関心領域がそのPIと一致しているかどうかを判断することができます。


2. PIの研究業績を調べる:学術界でキャリアを積むには、論文出版という形で成果を出すことが何より重要です。PI探しのプロセスにおいて、候補者の論文出版数やその質の調査は、早い段階でしておくべきでしょう。また、研究室の元ポスドクや現役のポスドクの話を聞くことや、筆頭著者として論文を出版できるかどうかをPIに確認することも重要でしょう。現在進行中のプロジェクトに参加することになる場合は、なおさらです。


3. 研究室の研究費獲得状況を把握する:研究は、研究費なしでは進められません。研究費の有無は、研究の質だけでなく、ポスドクとしての総体的経験値に大きな差を生み出します。将来的にポスドクとして働く立場から、PI候補者の研究室が研究費をどの程度安定的に獲得しているかを把握しておかなければなりません。PIや研究室の所属学生としっかりコミュニケーションを取ることで、関連する重要情報を得られるでしょう。


4. 研究室の研究環境を調べる:労働倫理やワークスタイルの価値観を共有できる友好的な人々がいる研究室に入ることができれば、日々の研究生活は価値あるものになるでしょう。心地良い職場環境を育むためには、PIの働き方や指導スタイルとの相性が重要です。これは、PIを選ぶ上できわめて重要な要素です。ここでも、候補のPIや現役の学生/ポスドクと個人的にコミュニケーションを取り、研究室訪問(可能であれば)を行い、研究室のウェブサイトやPIのブログをチェックして、研究室の環境を把握しておきましょう。


5. 指導教官の人となりを理解する:素晴らしいPIの多くに共通する資質として、コミュニケーション能力と柔軟性が挙げられます。一般的に、自分の研究を上手に発信できる研究者ほど研究費を獲得しやすく、同僚とより良好な人間関係を築いています。柔軟性の高いPIは、あなたに考える自由を与え、新たなアイデアを生み出せるよう促してくれるでしょう。このようなPIとなら、素晴らしい師弟関係を築くことができるはずです。


6. 総合的な指導方針を把握する:有意義なポスドク生活を送れたかどうかの判断には、論文出版や学会発表のような形ある成果とは別に、形のない要素も含まれます。これらは、その時点で評価されるものではないことが多いですが、独立した研究者としての将来に大きく寄与するものです。たとえば、労働倫理、キャリア形成、研究質運営、予算編成、ネットワーク構築、指導、査読付き研究資金の獲得などに関するトレーニングを積めるかどうかは、研究者として成功を収める上で不可欠な要素です。研究室の現役/元メンバーと話し、これらについての指導を受けられるかどうかを確認してみましょう。


7. キャリアの目標や方向性を考える:理想のPIを選ぶ上で、オープンな対話は重要情報を収集するのに役立ちますが、PIとポスドクの関係はそれぞれが固有のものであるという現実も理解しておきましょう。情報収集とは別に、自己分析を行う期間を設ける必要があります。たとえば、自分がPIとどのような関係を目指すのか、PIが自分の研究目標をサポートし導けるかどうか、自分がPIのビジョンに貢献できるかどうか、といった点も判断基準の1つとするべきでしょう。


 

研究室には、ヒエラルキーもあれば、ポスドクとして良好な地位を確保するための途方もないプレッシャーもあります。しかし、知識の伝達、協働、知的満足感といった本質的価値もまた、学術界ならではのものです。これらの価値に寄与し、またこれらの価値に支えられた形で理想のPIを探すことができれば、このプロセスを通して、将来のPIと良好な関係を築くことができるでしょう。


PI選びについてシェアしたいヒントや経験談があれば、ぜひコメントをお寄せください。

 
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