生存分析のベストプラクティス: 生物医学研究者のための手引き

生存分析のベストプラクティス: 生物医学研究者のための手引き

科学者は、さまざまな統計ツールを使うことができます。回帰分析は独立変数とその共変量の関係を理解するのに役立ちますが、生存分析では、グループ内またはグループ間の事象(イベント)発生までの生存時間データを分析できます。これにより、特定の期間におけるグループ内の生存曲線をプロットし、グループを比較することで介入の効果を理解し、イベントまでの時間に影響を与える可能性のある要因を特定できます。

 

生存分析とは何か?

 

生存分析では、死亡、システムの故障、病気からの回復といったイベントまでの時間データを理解することができます。また、時間の経過とともに発生するイベントの確率をモデル化し、その発生に影響を与える要因を特定するのに役立ちます。生存分析は、医学研究や工学をはじめとする幅広い分野で、さまざまなグループの生存率と故障率を知りたい場合に、活用されています。

 

生存分析の用途

 

生存分析を実施することで、生存率の増減に関連する要因を特定できます。また、さまざまな治療法や介入が生存転帰にどのように影響するかを比較して、その有効性を測定することもできます。このような情報は、新しい治療法を開発し、患者の転帰を改善する上できわめて重要です。

 

生存分析はどのように行うか?

 

心臓発作のリスクを軽減する可能性のある薬について調べているとしましょう。このようなケースで生存分析を使うと、その薬が死亡率の低下にどの程度効果があるかを評価することができます。研究対象群を選んで、盲検化治療グループと非治療グループに無作為に分け、データを収集し、グループ間の死亡率の差を分析します。生成された2本の生存曲線によって、グループ間の差異が視覚化され、薬の有効性に関する説得力のある証拠を得ることができます。

手順の概要をまとめておきましょう。

 

  1. 結果および分析に含める共変量とともに、リサーチクエスチョンを定める。
  2. 定義した基準に従ってデータを収集する。
  3. どのような比較が行われているかを検討し、カプラン・マイヤー法など、そのデータに適した統計手法を選択する
  4. 仮定と適合を確認する。(例えば、Cox比例ハザードモデルを使っているなら、シェーンフェルド残差をプロットする。)
  5. 各説明変数のハザード比と信頼区間を示して、(とくに打ち切りデータの)リスクを理解する。
  6. 判読可能なプロットを示してデータを視覚化する。
  7. データから得られた推論を考察でまとめる。

 

生存分析のベストプラクティス

 

  • 関心のあるイベントを定義する:イベントはバイナリ(0か1で表せる)でなければなりません。「死」は定義しやすいイベントですが、「回復」や「故障」などの状態は、曖昧さを排除する必要があります。
  • データに適した分析手法を選択する:カプラン・マイヤー生存曲線は簡単なテストですが、複数の共変量やグループ間の比較には適していません。さらに、データの打ち切りについて説明します。実際の多くの生存データセットは右打ち切りなので、例えばCox比例ハザードモデルなどを適用して、ハザード比を計算します。
  • 比較のP値を求める:2本以上の生存曲線がある場合は、比較のために有意性の検定を行います。
  • 信頼区間に生存期間の中央値を加える:こうすることで、結果を他の研究と比較できます。
  • データの解釈を行う:有意性の検定とハザード比の検定を行なって帰無仮説を受け入れるかまたは棄却し、考察セクションで行なった推論をまとめます。
  • 使用可能なソフトウェアを利用する:無料または商用のソフトウェアを使うことで、データ処理のエラーを減らしながら、分析作業とプロット作業の大半を自動化することができます。

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