ネットワーク作りのためのヒント10選
効果的なネットワーク作りは、現代の研究者にとって必須のスキルです。分野によっては、研究者同士の結束が強く、割って入ることが容易ではない場合もあるでしょう。また、業績を積み上げることで研究者としての信頼性は高まっていくものですが、積極的にネットワークを広げることなく、論文出版や被引用数の実績だけで周囲の評価を得るには時間がかかります。この記事では、(とくにすべてがオンラインで進む現在のような状況において)ネットワーク作りが重要である理由を説明するとともに、効果的にネットワーク作りをするための10のヒントを紹介します。
研究者にとってネットワーク作りが重要な理由
研究者がネットワークを広げるべき理由はさまざまですが、以下にその主な理由を紹介します:
- 共同研究者と出会う:ネットワークを広げることで、専門分野の内外の研究者とつながりができ、インパクトの高い研究プロジェクトで共同研究ができる可能性が広がります。
- 学ぶ:世界中の研究者とネットワークを作ることで、多様な研究者と話す機会ができ、分野についてより多くのことを学べます。学びが新たなアイデアを生むきっかけとなり、自分の研究のインパクトを高める可能性が広がります。
- 求人や助成金情報の把握:ネットワークを広げておけば、職場以外の求人や助成金獲得の機会に関する情報も得られるでしょう。
- 自分の研究を広く発信する:効果的なネットワークがあれば、自分の研究をほかの人に知ってもらう機会が増え、フィードバックなど何らかの反応を得ることができます。
- ジャーナル編集者とつながる:大規模なネットワークの一員になっておくことで、ジャーナル編集者とつながる機会が得られ、論文出版の可能性が広がるでしょう。
以上が、研究者にとってネットワーク作りが重要な理由です。ここからは、現在のパンデミック下で、世界中の研究者が参考にできるネットワーク作りのヒント10選をご紹介します。
研究者のためのネットワーク作りのヒント10選
1. オンライン会議に出席する:コロナ禍の中であらゆる社会活動が停止を余儀なくされ、学会をはじめとする多くのイベントがオンラインに移行しています。オンライン会議は、対面ならではのメリットを欠くものの、アクセスしやすい、コストが抑えられる、参加しやすい、質の高いネットワーク作りのチャンスが広がる、といった利点も多くあります。
2. ブログやソーシャルメディアで発信する:ブログは、共同研究を始めたり、研究を紹介したりするための優れたツールとして機能します。効果的に活用すれば、さまざまな利点が得られます。オンライン会議に参加する場合は、適当なソーシャルネットワーキングサービスでほかの参加者とつながれるようにしておき、会議後にもイベントハッシュタグを活用したコミュニケーションや情報交換をするなどして、長期的なネットワークを築くきっかけにしましょう。
3. オンライン調査/投票を活用する:専門家のネットワークを活用して、プロジェクトやアイデアに関する有益な見識や意見を集め、自分の研究を前に進めるための正しい決定を下すヒントにしましょう。オンライン調査や世論調査を通じてフィードバックを求めたり提供したりすることで、重要な知見や情報を得られるだけでなく、コミュニケーションやネットワーク構築も進みます。
4. 自分の研究を紹介する:研究のインパクトを高めるためには、紹介(共有、シェア)される必要があります。研究のことを知る人が多ければ多いほど、理解度が深まり、引用される機会が増え、新たな発見の土台として利用されやすくなります。似た考えを持つ研究者や自分のネットワーク外の人々に紹介することで、研究をさらに発展させるためのコメントや助言をもらえるでしょう。
5. 学術団体や学会の一員になる:研究者グループの一員になることは、分野内でのネットワーク作りのための理想的な手段です。研究者団体や学会のほとんどは定期的に会議を開いており、新たな研究に関する議論の場を設けるほか、メンバーに論文出版や助成金に関するガイダンスやサポートおよび研修を提供しています。参加する場合は、どの団体に参加するかを慎重に検討しましょう。参加後は積極的に関わるようにし、できるだけ多くのイベントに参加しましょう。
6. オンラインで活動する:ResearchGate、Mendeley、Twitterなど、自分に合ったプラットフォームやソーシャルメディアで積極的に発信することで、考えが似た研究者とつながることができます。これらのツールを利用して意見を交換し、疑問への答えを見つけ、より幅広く自分の研究を発信しましょう。こういった活動のすべてが、研究コミュニティ内で自分の立ち位置や評判を確立するための土台となります。
7. ほかの研究者の取り組みを紹介する:研究には他者の協力が欠かせません。重要な論文やプロジェクトの最新情報を理解し紹介することは、情報のアップデートという意味だけでなく、分野の専門家として認知してもらう意味でも大切です。また、ほかの研究者の研究に自分なりの見解やコメントを添えて紹介することで、その研究者からのレスポンスも期待できますし、自分の研究を紹介し返してくれることもあるでしょう。
8. ワークショップや特別講座に参加する:これも、世界中の研究者と簡単につながれる方法の1つです。双方向型のセッションでは、質問に答えてもらう、自分の研究をプレゼンしてフィードバックをもらう、ほかの研究者との関係を深めるといったことが可能です。なかには多くの時間と労力が必要なワークショップもあるので、参加を決める前によく検討しましょう。
9. つながったら連絡を絶やさないようにする:顔見知り程度の関係から共同研究を行う関係にまで発展させるためのベストな方法は、連絡を絶やさないようにすることです。共同研究の候補者や、尊敬する研究者をネットワークに加えたい場合は、メールでのコンタクトやZoomなどでの雑談も有効でしょう。
10. 有益なリソースを紹介/レビューする:研究の合理化や出版の迅速化につながる便利なサービスやツールを見つけたら、紹介/レビューしてほかの研究者に薦めてみましょう。新たなリソースを紹介し、それがどのように便利なのかを説明することで、積極的に活動する研究者として自分をアピールできるだけでなく、そのリソースを求めていた人の問題を解決した人として評価されることにもつながります。
ツールやサービスの紹介/レビューを行う際のガイドライン
常に誠実に:ツールやサービスについてアドバイスを求められたときは、自分の経験を誠実かつ正確に伝えることが大切です。不適切な過大評価や過小評価は、最終的には自分の評判を傷付けることになります。
自分なりの独自のフィードバックを提供する:ツールやサービスのレビュー/フィードバックを行う際は、多忙なときなどはとくに、当たり障りのない内容にすれば楽でしょう。しかし、製品やサービスに対する自分の意見や知識をアピールするチャンスなので、気に入った点や改善できそうな点、また自分の研究に与えた影響について、自分ならではのフィードバックを提供するようにしましょう。
他者に薦める:役に立ったサービスがあれば、研究仲間や同僚に薦めてみましょう。そうすることで、情報通とみなされるだけでなく、ネットワーク内の経験豊かなソートリーダー(Thought-leader)的存在になれるかもしれません。
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