- 記事
- 人気
学会発表を検討中ですか? 発表の場は慎重に選びましょう
ほとんどの研究者は「ハゲタカ」出版社の存在を知っています。しかし、新たな脅威として「ハゲタカ」学会があり、学会参加を呼びかけるスパムメールを研究者たちに大量に送りつけています。研究者たちは、怪しく質が低く搾取的な学会で自分の研究を発表したり、そこに出席したりすることに伴う危険性に注意する必要があります。
学会(conferences)の起源は、一般に、ある分野の研究者のための非営利団体である学術団体が開催する公式会合です。学会は、新しい研究結果を共有し、他の研究者の新しい研究や発見について学び、研究上の共通の興味を抱いている仲間とネットワークを広げるための場所を提供します。最近の学会には、このような伝統的な学術団体によって開催される組織を真似ているものの、研究分野の研究を発展させるためではなく、営利目的で運営されているものが多くあります。
論文発表者選定のプロセスは大抵厳しいものなので、学術機関は、学会発表に選ばれた論文の著者の業績を高く評価します。しかし、「ハゲタカ」ジャーナルが、投稿された論文を全て受理するのと同様に、ハゲタカ学会運営者は、学会登録費でお金を稼ぐために、研究者が投稿したアブストラクトのほぼ全てを受理します。
怪しい学会の典型的な特徴として、以下のものが挙げられます。
- 対象領域が広く、1つの学会に複数の研究分野が統合されている。
- スパムメールを利用して論文の投稿や登録を呼びかける。研究者には集中的にそのようなメールを送りつける。主な連絡手段として、conference@gmail.comのような無料電子メールアドレスを利用している。
- 学会のウェブサイトに学会運営者の情報が明記されていない。あるいは、運営者の素性が明らかでなく、団体としての信頼性が低い。
- 査読付き学会での発表用にアブストラクトを投稿した場合の受理の通知が非常に速い(おおよそ4週間以内)。
このようなハゲタカ学会にうっかり登録し、出席してしまった研究者の報告によると、運営者は通常、人気の観光地にあるホテル内で同時にいくつかの学会を開催し、場所の魅力で登録を促しているといいます。また、ハゲタカ学会では、多くの(あるいはすべての)出席者に「優秀論文賞」(Best Paper Award)などという賞を気前よく出しますが、注意書きには「優秀論文に選ばれるのは全論文の5~10%です。学会開催中に優秀論文が発表されます」などと記してあります。
ハゲタカ出版社の中には、追加収入を得るためにサイドビジネスとして学会を開催するところもあります。学会参加者に、発表したアブストラクトを学術論文にまとめるよう勧め、投稿すれば自分たちのジャーナルからの出版を保証すると言うこともあります。また、論文処理費用の追加徴収もあるかもしれません。
カリフォルニア工科大学(Caltech)の司書であるデーナ・ロス(Dana Roth)氏は、怪しげな学会をConferences - spammed and ??としてリストにしています。しかし、学会ウェブサイトは突如現れ、学会後にはすぐに消えてしまいます。これは、ハゲタカ学会に特有の問題です。このため、怪しい学会リストは完全なものにはなり得ないのです。
研究者の皆さんは、学会参加の要請に警戒し、定評のある学術団体が運営する学会に参加するようにしましょう。低品質なジャーナルに論文を掲載するのと同様に、ハゲタカ学会で発表することは、お金がかかるだけでなく、長期的にあなたの評判に傷をつけることになるかもしれません。
コメントを見る