パンデミックによる無気力への対処法
[注:この記事は、Happy Academic blogに掲載されたものを、許可を得てここに再掲載したものです。著者のカイリー・ボール(Kylie Ball)氏は、豪ディーキン大学Institute for Physical Activity and NutritionのAlfred Deakin Professorであり、Indago Academyの創設者でもあります。]
現在のような非常時は、平時と同じように研究を進めることはできません。世界中が混乱する中、どうやって研究に集中しろと言うのでしょうか?私は、この記事を書くことも先延ばしにしてきました。今は、何を書こうとしてもつまらなく思えてしまうからです。私のようにニュースやソーシャルメディアを読み漁っていれば、リスクが大したものではないと思えるような提案や助言が書かれた記事を目にしたことがあるはずです。確かに、疫病による隔離期間中に、アイザック・ニュートンは偉大な発見をし、シェイクスピアは傑作を書き上げました(それができたのも、当時はツイッターやネットフリックスがなかったからでしょう)。しかし、校正刷りのチェックのような簡単な仕事でも2分しか集中できない人はどうすればいいのでしょうか(私のことだとは言っていませんよ!)?パンデミックの真っただ中に、質の高い論文を生産しなければならないという期待(それも多くの場合、自分自身の期待)に応える必要はないのかもしれません。私は昨日、ソファに座って、40分間ただぼんやりと窓の外を眺めていました。結局は、地元スーパーのトイレットペーパーの在庫を確認しようとなんとなく思い付いて外に出たのですが、この時期にムートンブーツを履いていることに気付いたのは、外出してしばらく経ってからでした(オシャレのつもりではありませんでした)。そんな状態の私を元気づけてくれたのは、「今こそ本腰を入れて偉大な仕事をしよう」という提言を笑い飛ばす発言をまとめた、愉快な記事でした。私のように、集中力が低下し、報道を見て不安を感じ、生産的とは言えない状態になっていたとしても、それは自分の責任ではありません。このような困難な状況では、ごく自然な反応なのです。
それでもできることはある?
この状況を、受け入れましょう。いつかは必ず過ぎ去ります。こちらの記事を読めば、パニックになる必要がないこともよく分かるはずです。
効果が確認されている運動をし(静かな公園での散歩やジョギング、トレーニングアプリやYoutubeの無料ヨガ動画などを活用したアクティビティ等)、睡眠と食事をしっかりとり、ストレスに対処し、ニュース/ソーシャルメディアを際限なく見ることをやめて、自分をケアしましょう。もちろん、手洗いも忘れずに。
思いやりの心を持ち続けましょう。同僚をはじめとする他者との関係は、これまで以上に重要になっています。詳しくは、こちらの論文をご覧ください。ソーシャル・ディスタンシングではなく、フィジカル・ディスタンシングを意識しましょう。バーチャルで家族や友人と連絡を取ることができる現代の技術に感謝しましょう。
そして、医療、看護、研究に従事してくれている人々に感謝し、応援しましょう(私は、オーストラリアの科学者がコロナウイルスの再生に成功したというニュースを見たとき、泣いて喜びました。今は、科学者にとって最高にやりがいのある時です!)。
さまざまなリソース
・こちらのページで紹介されている一連のリソース集は、高等教育を含め、指導や学習に遠隔で取り組んでいる人々を対象としたものです。
・こちらのページでは、メンタルヘルスをケアするためのヒントが紹介されています。
・アムステルダム大学とルーヴェン・カトリック大学の研究者は、コロナウイルスに関するミーム(伝達される文化情報)を集めるためのポータルを起ち上げました。これは、難局で人々はどのようにコミュニケートするのか、そしてユーモアはどのような役割を果たすのか、といったことを調べる研究の一環として行われているものです。
・こちらで紹介されている一日のスケジュール表は、自宅隔離中の家族向けに作られたものですが、長期間自宅で過ごしているすべての人にとって参考になります。
** 最後に…
私は今年、希望に満ちたパートタイム研究者となり、研究業務とは別に、コーチングを行うほか、メンタルヘルスの支援活動で優れた取り組みをしている素晴らしいNPOの活動にも参加するようになりました。そのため、ブログへの投稿頻度も減ってしまいそうですが、年に数回は顔を出すつもりなので、引き続きご意見やコメントを頂ければ幸いです(たとえば、今のような生活を送る上でのコツやヒントなどを教えてください!)。皆様の健康を願っています!
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