看護師に学術雑誌での発表を勧めることの重要性

看護師に学術雑誌での発表を勧めることの重要性

ジャーナルで発表された健康関連の学術論文について考えるとき、おそらく、著者が看護師であるとは思い浮かばないでしょう。看護師が書いた論文は確かに、非常に少ないのです。
 

このシリーズの前の記事で申し上げたように、臨床専門看護師は、質が高く患者主体で、時宜を得た、費用対効果の良いケアを行っています (Royal College of Nursing, 2013)。非侵襲的な治療手段を取る看護師が多くなることによって、医師の必要がなくなり、医師は高リスク患者の治療により多くの時間をかけることができるようになります。多くの看護師が、慢性疾患を抱える患者のケアを長時間行っているがゆえに、常に実践の分野で新しい技術を導入しており、そうした導入の多くは、同僚や他の医療関係者にとっても役に立つ可能性があります。


炎症性腸疾患看護師ネットワーク(inflammatory bowel disorder (IBD) Nurses’ Network)、ストーマ・ケア看護師協会(Association for Stoma Care Nurses)、英国肝疾患専門看護師フォーラム(British Liver Nurses’ Forum)といったイギリスの看護師協会の委員会メンバーは、会員に学術雑誌での論文発表をさせることの難しさをよく訴えています。
看護師の会合(Meetings)や大きな会議(conferences)では、看護師主導の技術導入、および/または勤務している診療科で導入している効率的な患者ケアのクリニカル・パスに関する議論がよく行われています。けれども、看護師を説得し、こうした最高の実践を学術ジャーナルで発表させるのは、そう簡単なことではありません。


考えうる理由は次の2点です:


1. 看護という分野では研究の機会が乏しい。


2. 看護師は、看護の仕事において利己的だと思われるのは良くないので、自分がしていることについてあまり多くを語るべきではないと思っている。


Heinrich (2009)は、2番目は忘れ去られるべき格言だと述べています。というのも、看護職が今も残っているのは、物語が共有されているからです。1番目の理由はもっと具体的です。看護の研究が現在と将来の専門的な看護実践に大きな影響を与えることができるとしても(Tingen et al, 2009)、看護しが必要な資金と休暇を得てこうした研究を行うことは、非常に難しいです。

私は『Gastrointestinal Nursing』という看護雑誌のエディターです。興味深いことに、このジャーナルは、さかのぼって2002年、結腸直腸専門の看護師のグループによって作られました。看護師による看護師のための出版物の重要性に気づいている看護師がいるということは、このことからも明らかです。
しかしながら、学術雑誌で発表する看護師は非常に少ないままです。そのため、看護師を励まし、最高の実践、および自分の診療科/病院に導入している技術を発表してもらうことが不可欠です。自分たちの経験が他の医療関係者に共有されれば、患者ケアの向上に大変役立つことでしょう。


 

参考文献

Heinrich KT (2009) Why more nurses should write for publication (but don’t). American Nurse Today 4(8): 11-12

Royal College of Nursing (2013) RCN Factsheet: Specialist nursing in the UK. http://www.rcn.org.uk/__data/assets/pdf_file/0018/501921/4.13_RCN_Factsheet_on_Specialist_nursing_in_UK_-_2013.pdf (accessed 10 October 2014)

Tingen MS, Burnett AH, Murchison RB, Zhu H (2009) The Importance of Nursing Research. J Nurs Educ 48(3): 167-70. doi:10.3928/01484834-20090301-10

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