ジャーナルの投稿システムで査読状況を追跡する

ジャーナルの投稿システムで査読状況を追跡する

たいていのジャーナルにはインターネットでの投稿システムがあり、論文投稿をより簡単で、迅速にしているのは間違いありません。原稿が投稿されると、オンライン追跡システムにより、著者は原稿の旅する道をたどることができます。投稿の後、著者は不安でいっぱいになりますから、自分の現行のステータス(査読状況)をチェックし続けるのも無理のない話です。時には特定のステータスがどんな意味を表しているのか理解するのが難しくなり、これがかえって不安を増させる原因になることもあります。

長期間にわたってステータスが変わらないと、混乱しイライラすることもあります。依然書いたいくつかの論文の中で、私たちは、編集の意思決定プロセスに関する一般的な疑問に答えることを試みたことがあります。この記事では、追跡システムが示す様々なステータスと、それらの意味について、著者の皆さんにお伝えしたいと思います。

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それぞれのステータスについては、ジャーナル・出版社によって若干異なる用語が使われているかもしれません。ここでは、一般的に、投稿から最終的な採択・不採択まで追跡システムが示す、様々なステータスとして考えられるものを取り上げます:


1. 投稿済み
原稿の投稿が成功し、著者の承認済みであることを意味します。この後は通常、原稿はジャーナルのスタッフによってフォーマットのチェックを受けてから、エディターが選任されます。


2. エディター選任
このステップは任意であり、すべてのジャーナルで行われてはいないかもしれません。原稿の担当エディターが選任され、エディターの承認を待っている段階です。


3. エディターによる承認 
エディターが担当を引き受けたことを示しています。この段階では、エディターにより原稿の一次審査が終わっており、原稿はジャーナルに適していると判断されれば査読に送られます。ジャーナルの扱う範囲に合致していない、あるいはジャーナルの基準を満たしていない場合、原稿は査読されずに著者に戻されます。その場合、次のステータスが「決定中(Decision in Process)」になるかもしれません。おそらくは、数日中に不採択の通知が著者に届くでしょう。


4. 査読者の選任 
このステップも任意です: すべてのジャーナルで行われるわけではないでしょう。論文が一次審査を通過すると、エディターは査読者を探します。システムに「査読者の選任(Reviewer invited)」 とありましたら、査読者のところに依頼が送られたが、まだ査読者からの同意が得られていない状態を意味します。追跡システムがしばらくの間ずっと“Reviewer Invited”のままで、それから“With Editor”に戻ってしまうことも、時にはあります。これはおそらく、査読者が依頼を辞退し、エディターが他の査読者を探さなければならなくなることを意味しています。


5. 査読中
原稿が査読中という意味です。査読者は多忙な科学者です。その上、査読とは、原稿を詳細にわたり吟味し、評価しなければならない無給のサービスです。 したがって、出版にいたる全体的なプロセスの中で、一番時間のかかる部分でしょう。ジャーナルや研究分野によっては、1~4ヶ月ほどかかる可能性もあります。


6. 判定待ち
このステータスは、すべての査読が終了し、編集事務局に届いているという意味です。時には、査読結果を検討し、追加の査読が必要だとエディターが感じるかもしれません。そういう場合は、ステータスが“Under Review”にもどることもあります。ですから、ステータスが戻っても驚かないように:追加の査読が終了すれば、“Required Reviews Complete”に戻ります。


7. エディターによる判定中
査読者からのコメントやエディター自身の意見をもとに、エディターがあなたの論文について、現在、決定を行っている ことを意味します。必要があれば、エディターはこの段階で編集委員に相談することができます。このステータスまで来れば、数日中に編集からの判定が伝えられるのが普通です。けれども、例外的な状況では、このステータスが常時表示されていても数週間経過したり、何ら判定が伝えられなかったりすることがあります。エディターが非常に多忙で、机の上で他の論文がたくさん順番待ちをしている場合に、こういうことが起こるのかもしれません。


8. 修正
査読者からのコメントによって、大幅な修正あるいは若干の修正が著者に求められる ということを指しています。修正の質や研究分野によりますが、著者には通常、数週間から2ヶ月後の〆切が与えられます。前もってエディターに伝えることにより、〆切を延ばしてもらうようお願いすることは可能です。著者は、査読者からのコメントへの回答を、修正した原稿とともに投稿しなければなりません。


9. 修正原稿投稿済み
修正した原稿を著者が投稿した状態です。ジャーナルによる原稿のフォーマットのチェックを待っている段階です。


10. 著者による修正辞退
修正版を投稿したくないということを示すアクション・リンクを著者がクリックすると、このステータスが表示されます。言い換えると、著者は示唆された修正を行うつもりがなく、論文を撤回したいと思っているということです。


11. 撤回完了
著者が論文撤回を選んだ場合、著者が撤回以来を行い、エディターが同意すれば撤回プロセスは完了です。原稿を別のジャーナルに投稿する前に、エディターから撤回確認メールが来ることが絶対不可欠であるということを忘れずに; そうでないと、重複投稿あるいは同時投稿とされてしまうかもしれません。


12. 不採択決定
査読者とエディターから求められた修正を行った場合、原稿に対する最終決定は「採択」か「不採択」のいずれかになるでしょう。エディターが修正に満足しない場合は、論文は不採択になることもありえます。修正と、査読コメントへの回答にもとづき、エディターが論文不採択という最終決定を行ったことを示すステータスです。


13. 採択決定
このステータスは、著者が行った修正にエディターが満足し、採択という最終決定を行ったことを示しています。



ジャーナルによっては独自のステータスを使っているところもあるので、分かりにくいステータスに出会ったら、ジャーナルに問い合わせる必要があるかもしれません。そんなときは、ジャーナル編集者とコミュニケーションを取る際のテンプレートを紹介している、こちらのハンドブックが便利です!
A practical handbook of templates for communicating with the journal
 

また、投稿論文のステータスについてはさまざまなご質問を頂いていますので、こちらのページも参考にしてみてください。

 

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