事例:データの捏造と画像重複の疑いから、あなたの論文を守ります

事例:データの捏造と画像重複の疑いから、あなたの論文を守ります

◎事例

依頼された論文を見直しているとき、エディテージの論文投稿の専門家が以下のことに気づきました。

1. 研究で実証されていたのは、複雑かつ、動物では死亡率が高かった、新しい外科手術でした。このような研究は通常、(手術中に起きた動物の死を説明するために)多くの動物を対象に行われ、最後には、実験群の動物の数は異なってきます。
しかしながら、この研究では、すべての群で動物の数が同じでした。これは極めてありそうもない結果に思われ、どうしてこんなことが可能になったのか、著者が説明する必要がありました。 


2. 図2点が同じスライドから抜粋されているように思われました。どちらの画像も細胞分布が同じでしたが、論文ではそれらが2つの異なる抗体によって染色されていると言及されていたので、それは、起こりそうもないことでした。



行ったこと

エディテージの論文投稿の専門家は、懸案事項を著者に伝え、もしこのままの形で論文が投稿されたら起こりうる問題についてほのめかしました。 

第一の点について、私たちは、研究結果が捏造されているように見えるかもしれないと説明しました。どういう経過で、すべての群で動物の数が同じになっているのかを明確にするよう、著者に求めました。ジャーナルがデータに疑念を抱かないように、論文では、どのようにしてその数になったかを明確に述べるよう薦めました。著者は詳しい説明を持ってきてくれました。その中で、それぞれの群で動物の数が減っていく様子を詳しく説明し、それとは別に、実験の過程において死んだ動物の数も挙げました。

第二の図に関しては、画像操作を疑われかねないと説明しました。もともとの画像データファイルをチェックし、また可能であれば、現在の画像を、画像操作に対し何ら疑念を持たれないで、実験結果を正確に伝える別の画像と取り替えるよう求めました。著者は良さそうに見える別の画像と取り替えました。  



要約

データの捏造と画像操作は、出版の倫理水準に違反するものと考えられています。
研究公正局(The Office of Research Integrity (ORI))は、データの捏造(fabrication)もしくは改ざん は研究上の不正行為と定義付けています。
 

(a) 捏造 とは、データ、あるいは結果と記録をでっちあげる、もしくはそれらを報告することである。


(b) 改ざんとは、研究材料、装置、プロセスに操作を加える、もしくはデータや結果を変更・省略することであり、そのため、研究記録の中で研究が正確に表わされない。


捏造や画像の重複が起きた場合どのように対応するかについて、たいていのジャーナルが明確な指針を持っています。たとえば、Nature Publication Group (NPG)のジャーナルはすべて、盗作と捏造 に関する明快な指針を、画像の完全性と標準とともにまとめています。

こうした問題と関連する不正行為の例が発見されると、著者は説明を求められ、説明がない場合や十分な説明が得られない場合は、著者の所属機関に通知が行き調査が行われます。掲載済みの研究の場合、論文が撤回されることが多々あります。

こうした事例に見られるような 不正行為は、研究者のキャリアをおびやかしかねません。したがって、著者は、これらの問題に関するジャーナルの指針とガイドラインを非常に注意深く読み、それらを厳格に守らなければなりません。疑われる危険を防ぐため、可能な限り、追加資料・データを提示するべきです。

 

 

 

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