著者資格を定義する:著者が複数いる論文において貢献者の役割を指定する分類法

著者資格を定義する:著者が複数いる論文において貢献者の役割を指定する分類法

デジタル化とオープンアクセスが日常的になり、科学はますます共同的になってきています。最近では単独の著者による発表はまれです。論文あたりの著者数は日に日に多くなっており、複数の著者が書いた論文で著者が50人、あるいは100人にもなることがあっても、もはや驚きではありません。2011年以降、著者が1000人にのぼる論文が、トムソン・ロイター(のデータベース)に掲載されています。
 

けれども、複数著者がいる論文で、それぞれの著者が個々にどのように貢献しているかは明確ではありません。まず、誰を論文の著者に含めるべきか、著者リストをどんな順番にすべきかについて、統一の構造・プロセスが整っているわけではありません。加えて、論文を読んだからといって、それぞれの著者が研究で果たしている役割を理解することはできません。謝辞と引用の節も、方法論、概念、データ収集、実験の遂行、それぞれ責任を持つ著者は誰か、ということを理解するには、あまり役に立ちません。


ネイチャー誌に先日掲載された論文 が、実行可能な解決方法を考え出しています。
「分類学」の助けを借りた論文投稿ソフトにより、研究者は、論文の作成と掲載のプロセスにおいて、あらかじめ決めておいたカテゴリーに貢献者の役割を当てはめることが可能になりました。この論文の筆者らは、論文に対する著者たちの貢献がどんなものか理解するため、著者たちを対象にインターネット調査を実施しました。調査は、著者たちの貢献が14個の役割分類法を使って分類できるかどうかを調べるものでした。
14個の役割とは以下の通りです。




誰が何をしたか?
下に述べる分類法に書かれているように、各著者にあてはまるすべての役割を選び、それらの役割のうちどれが主要、あるいはサポートかを述べるよう、回答者に教示した。

taxonomy

情報源: Allen et al., 2014

 

有名なジャーナルに掲載されている論文の責任著者に調査用紙を送り、 各著者の寄与を分類法に従って示し、分類法は包括的であるかどうか、何か重要な役割がリストに欠けていないか、分類法の使用は、現況の「著者の貢献指定」と比べてどうか、とりわけ分類法は使いやすいか使いにくいか、意見を述べるよう依頼しました。
 

回答者の85% 以上が、分類法は使いやすいと思っており、論文の貢献者の役割をすべて網羅していると感じていました。さらに回答者の82%が、今回提示された、より構造的な分類法を使うことは、正確さの点で、他の方法と少なくとも「同じ」(37%)か、他の方法より「良い」(45%)と答えていました(合計すると82%)。こうした見解にもとづき、この論文の筆者たちは、分類法をさらに発展させるため、今後数ヶ月にわたり様々な団体とともに仕事をする計画を立てています。


このような分類法の作成により、著者はいろいろな形で支援されるでしょう。著者数20人の論文で研究の貢献者を単にNo6、No8とするのではなく、この分類法は、それぞれの著者の研究への貢献の仕方を正確にとらえていると思われます。助成金申請中や、大学での役職を探すときにも役立つでしょう。若手研究者にとっては、彼らがどのように貢献したか正確に知らせることができ、結果として共同研究の機会が増えることになるため、とりわけ有益だと思われます。


科学コミュニティもまた、分類法にもとづく役割指定を役に立つと感じるでしょう。それぞれの著者の特別なスキルや行った貢献がどんなものか特定することができます。それにより、科学者や研究者が共同研究者をもっと容易に探せるようになると思われます。また、ある研究論文の方法論を利用したいという人が現れた場合、著者リストの誰がその方法論を開発したのかわかり、役に立つでしょう。


資金提供機関は、十分に情報を集めた上での意思決定が可能になります。分類法を使うとエディターの貴重な時間を節約することができますから、出版社も利益を受けることになるでしょう。明快さと透明性が増すため、エディターは、著者資格を明らかにしたり、いざこざを解決したりするのに時間を使わずにすむようになります。


この分類法は学生の学びも促進するでしょう。 ジャーナルに掲載された各論文に、共通のパラメーターを使ってそれぞれの著者の貢献が記載されていれば、科学プロジェクトの透明性も高くなります。ですから、学生が科学の文献を読むとき、目の前にあるテーマについて学べるだけでなく、共同的な科学がどのように機能しているかについても理解することができるのです。それにより、キャリアの早い段階で広く知ってもらうことができるとともに、研究論文を書き始める際に果たすことができる自分の役割について、より明確に理解できるようになります。

 

 

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