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不正行為の罪を負った科学者は名誉を回復できるのか?
このところ、科学研究における不正行為の数が劇的に増えています。事実、確認された例だけでも2012年に419件(2011年の倍)、これは無視できない数です。こうした現象が主な原因となり、学術出版コミュニティ全体へ関心がもたれるようになっています。それ以上に、不正行為の事例をどう解決すべきかについて何のコンセンサスも得られていない状況があります。
一般的な話ですが、不正行為の質と程度により、活発に研究することを禁止されたり、一定期間大学を懲戒免職になって数年後に復職したりするようです。不正行為のニュースがメディアを通じて広がった場合は、その研究者はおそらくジャーナルや資金提供機関のブラックリストに載り、その後も研究の実施や論文の発表に苦労するでしょう。
ごく最近のことですが、アメリカで新しい取り組みが始まりました。不正行為が発見された科学者の更生プログラムです。この更生プログラムRePAIR(研究におけるプロ意識と健全性の回復;Restoring Professionalism and Integrity in Research)を主宰しているジェームス・デュボワ氏によると、責任を問われた研究者の中には、「非常に才能のある研究者」や「あるスキルを備えさえすれば、非常に生産性のある人として専門分野に戻ることができる」人もいるということです。RePAIRプログラムは、アメリカ国立衛生研究所から50万米ドルの資金を受けています。患者一人あたり3日のコースで3千ドルのコストがかかります。コースでは、参加者が自分のしたことを話し合ったり、非倫理的な行為を再び行わないようにするために職業に関する管理プランを立てたりします。
RePAIRプログラムが科学コミュニティから受ける評価は二つに分かれています。 アメリカ研究公正局のデイヴィッド・ライト氏は、成功するかどうかの判断は時期尚早だが、こうしたプログラムは長く必要とされ、価値のある努力だと確信しています。一方、ミシガン大の倫理学者ニコラス・ステネック氏は、不正行為が起きた後、その研究者に対処するよりも、不正行為を制御するための手段に資金を投資するほうが、より有益なのではないかと考えています。同じように、プリンストン大学のレオニード・クルグリャック(Leonid Kruglyak)教授によれば、「数えきれないくらい多くの研究者が仕事を求めているときに、『更生』プログラムに費用を費やすことを正当化するのは難しい」とのことです。
あなたはどう思いますか?更生は、不正行為を犯した研究者にとっての答えになるでしょうか?
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