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なぜあなたの論文を出版したいのかについて、集中することが大切です
学術論文のフィールドに足を踏み入れたきっかけは?
恐らくたくさんの私の同僚がやってきたやり方と同じだと思いますが、私が学術論文のフィールドに足を踏み入れたのは、私自身の論文を出版したのがきっかけです。同僚によって書かれた論文を査読したり、ライティング・リーディングをおこなったり、また、グラント計画書/就業申請書/進捗報告書/動物議定書/推薦状などににコメントしたり、編集作業をおこなっていました。研究環境は執筆業にしっかりと集中できる空間でした。読めば読むほど(つまり、執筆すればするほどに)その反復性に気付くのですが、論文が承認される機会が著しく減るという問題は簡単に解決できることでないと気付きました。数年前に、カクタス・コミュニケーションズでフリーランスの仕事を見つけたときに、ぜひ挑戦してみたいと思ったのです。
あなたはカクタス・コミュニケーションズの論文投稿支援チームの一員ですね。ここでの経験は、執筆、編集、論文全般に対する自身のアプローチにどのような影響を与えましたか?
自分自身のミスよりも、他人が犯したミスを見つける方が容易であることは良く知られていますよね。しかし、他人の過ちから学ぶことが、ベストな方法であるという事も事実なんです。私の論文では、いつも簡潔であることを心がけています。カクタス・コミュニケーションズでの経験から、科学的な論文は考えを押し付けるのではなく、簡潔であるべきだというアイディアをさらに強めてくれました。複雑で構造的に混沌とした文章は、誤解や誤った解釈を引き起こす機会を増やしてしまうのです。これはとても危険なことです。
あなたはご自身で著作を出版していますね。また、ピアレビューアーとしての経験もあります。自身の経験から、構造がしっかりとした優れた論文とはどのようなものだと考えますか?
私の意見としては、情報の正確性、読みやすさ、そして論理的な展開こそが優れた論文であるための主要な3つの要素だと思っています。すべての論文は、序論では論理的な冒頭から始まり、考察での論理的な結論でしめる、といったストーリーがないといけません。また、各項については明確に定義され、区分されているべきです。データや方法論は結論では記述するべきではありませんし、結論は考察と上手く噛み合っていなければいけないんです。議論は、調査結果がどのように既知のコンテキストに矛盾無く収まるかということに焦点を当てるべきです。ただ単純に、違う順序で結論を繰り返し論述するという議論は、著者がその分野に精通しておらず、著者が調査結果の重要性を認識できていないという点で、査読者を苛立たせてしまうでしょう。
そして、読み手の視点に立って執筆するということですね。あなたのオーディエンスは、少なくとも論文で扱われているテーマには馴染みはないし、だからこそ新しい何かを学びたいと思っているんです。読み手と関連のありそうなバックグランドをまず提供するようにしていますが、やりすぎないようにしています。冒頭において、必要以上の技術的な情報は読み手を混乱させるだけなのです。なにが一番最悪かと言うと、レビューアーさえも混乱させかねないということです。同時に、普遍性が大きく欠けた論文は、著者が自身の分野の専門性に欠けているという印象を与えてしまいます。結果的に、信頼性に傷をつけ、出版の機会が減ってしまうということになります。
著者として、どのように自身の論文をどのジャーナルに載せるかを決めていましたか? ジャーナル選択のコツを教えてください。
それに関してはいくつかのストラテジーがあります。その内の1つは特定の分野、論文の種類、領域と分量、出版のタイムフレーム、論文レビュー後の追加の仕事量、そして著者の野心、といったことにもよってくるかと思います。ジャーナルを選択するとき、(1)ふさわしいオーディエンス(2)論文の重要性に焦点を当てています。
次の仮説の例を考えてみてください。あなたは2つの論文を持っています。1つは、燃費を30%改善させる車のエンジンの改良作業について。もう1つは同じく車のエンジンの改良作業についてですが、安価な空飛ぶ車の設計と製造に専念したものです。最初の論文は、エンジンの設計の分野の進歩について記述されていてとても重要なものであるが、読み手は車のエンジンという専門に対して限られた知識しか持っていない。従って、このような論文は専門的なジャーナルで一目置かれるチャンスがあると思います。しかし、2つ目の論文はバイヤーのトレンドやライフスタイルの変化と多方面の分野を強調しかねない。このような論文は、一般的なジャーナルに提出されるべきです。両方の論文は重要な発見ですが、重要性のレベルというのは異なるものなのです。
毎日忙しいと思いますが、校正者以外の仕事のときはどのように過ごしですか?
そうですね、私が他の著者の出版をお手伝いしていないときは、自分自身の出版を手伝っているんです! 真面目に答えると、ある日自分で設定した1つのシンプルなルールに従うようにしているんです。それは、私が仕事をしていないときは、携帯電話の電源を切り、外で過ごすようにするということ。長距離のハイキング、カヤックなどのトリップに出かけたり、または絵画や読書、そして私の子供達と家の中で遊ぶことです。この世界は、私がいなくたって4.5億年も前から立派に存在しているんです。どうにかして日々を、そして明日を生き延びていく、ただそれだけのことなんです。
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