学術界の外でのキャリア:バイオサイエンスの知識を企業法務に活かす
Woojin Lee博士は、ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン神経科学研究所で神経科学の博士号を取得、ノッティンガム大学分子医学部で腫瘍学の修士号を取得しました。現在は、バイオサイエンス、製薬、人工知能の企業で法律顧問として活動しています。
これまでのキャリアについて教えていただけますか?
大学で神経科学を学んだ後、製薬会社で働いていましたが、そこで知的財産の分野に興味を持つようになりました。現在は弁護士として、バイオテクノロジーのスタートアップ、製薬会社、研究機関、病院などに法務面でのアドバイスをする仕事をしています。バイオテクノロジー分野のクライアントに実践的なアドバイスを提供する上で、科学の知識と経験は非常に役に立っています。
転身の決め手は何だったのでしょうか。とくに障害はありませんでしたか?
製薬会社で勤務しているときに、法律の専門家と仕事をする機会がありました。そのときに、科学のバックグラウンドが研究開発や販売/マーケティング関連の法律や知的財産の問題を理解する上で非常に役立つことに気づいたのです。そこから2、3年間まったく新しい分野を学び、ロースクールのカリキュラムを修了して試験を突破するのは本当に大変でした。でも、バイオテクノロジー企業では、科学的な発想、研究、労働文化を理解している法律の専門家が求められているという確信がありました。
学術界の外には、博士号取得者にとってどのようなチャンスがあると思われますか?
バイオテクノロジー分野の博士号があれば、製薬会社やバイオテクノロジー企業で事業開発、マーケティング、製造、品質管理などの仕事に就くことが考えられるでしょう。また、メディカル・サイエンス・リエゾン(MSL)としてさまざまな機関のキーパーソンと関係を築き、新製品に関する開発や研修をサポートすることも可能でしょう。政府機関で政策立案やコミュニケーションに取り組むという選択肢もありますし、私のように知的財産の分野を探求する道もあります。各専門分野で弁理士または法律顧問として働くためには、法律の学位や資格を新たに取得する必要がありますが。
学術界の外でのキャリアを模索するときに大事なポイントは、ご自身の経験から、何だと思われますか?
学術界の外に出ることは、多くの人にとって難しい判断を伴う厳しい決断だと思います。思い切って飛び出す前に、次のようなポイントを検討してほしいと思います。
まず、人生における長期的な目標について考えてみることです。学術界を去る理由は、自分自身の正直な動機に基づくものでなければなりません。学術界の外に出ることで、人生により充実した目標がもたらされ、個人的な成長につながると確信することが大切です。
また、新たな分野で自分がどれほど通用しそうかを見きわめることも必要です。学術界の外では、学問における業績が必ずしも立派な成果として評価されるとは限りません。事前の下調べが不十分だと、予想外の拒絶や失敗に直面するかもしれません。自分が思い描く水準に達するために、それまでのキャリアを補完するためのさらなる学びや資格が必要になる場合もあるでしょう。
大事なことを言い忘れましたが、経済的な側面も考える必要があります。収入は、転身を考える際の一番の要因ではないかもしれません。それでも、とくに家族がいる場合や引っ越しを伴う場合、金銭的な報酬は生活の質を維持する上で大事な要素になります。
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