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学術論文での大文字と小文字の使い方:基本中の基本
学術論文では、大文字を過度に使用しているケースが多く見受けられます。これは、その逆、つまり大文字とすべきところを大文字にしていないというミスよりも多く見られます。大文字の使用は、執筆者や編集者を悩ませる問題であることは間違いありません。多くのスタイルガイドが大文字使用について説明しているということは、その問題がかなり一般的であることを示しています。New Hart’s Rules1、Scientific Style and Format2、AMA Manual of Style3は、それぞれ一章を割いて大文字化について説明しています。すべての事例にあてはまる確固としたアドバイスはありませんが、ほとんどの事例には一般的な原則が当てはまります。包括的な原則は、「初期設定としては小文字を使い、大文字は必要な時だけ使用する」というものです(例えば固有名詞や文頭など)。New Hart’s Rules [1, p. 96]で言われているように、「語頭の大文字を過剰に使用すると目障りで、区別を誤ってしまうなど混乱させられることさえある」からです。
多くの場合、投稿先のジャーナルで使用しているスタイルに沿うことで問題は解決します。例えば、いわゆる「見出しスタイル」(headline styleあるいは title case)と呼ばれているスタイルを使うジャーナルがあります。もしあなたが出版を目指しているジャーナルが「見出しスタイル」を利用し、‘Materials and methods’ではなく、‘Materials and Methods’と印刷しているのであれば、そのスタイルを使いましょう。同様に、参考文献を書く際も、ジャーナルの参考文献で使われているスタイルをよく見てそれに従いましょう。ジャーナル名や書籍名に「見出しスタイル」を使っている場合もあれば、そうでない場合もあります。(つまり、Annals of Applied Biology と Annals of applied biology、 Principles of Organic Chemistry と Principles of organic chemistry
のような違いです。)
省略形を使うときは、省略形が大文字であっても、フルスペルで書くときに必ずしも大文字のままにしなければならないということはありません。例えば、EMFはelectromagnetic field、PCBはprinted circuit board、WAISはwide area information serviceとなります。
また、章・図・ページなどの言葉を省略して列挙する際に、大文字にするか小文字にするかを決める別の基準もあります:意図的にそうするのか、それとも偶然的にそうなるのか、ということです。つまり、Chapter 2 あるいは Figure 5 と書かれている一方、ページはpage (または p.)7あるいはコラム(またはc.)2となっている場合があります。これは、ページ番号やコラム番号はページレイアウト上の役割に過ぎないため、番号が変わることもあるからです。しかし、文章を分ける章番号や、どこでどの図を選ぶかは、著者が考えた結果の選択である、ということです。
[1] OUP. 2014. New Hart’s Rules: the Oxford style guide, 2nd edn. Oxford: Oxford University Press. 464 pp.
[2] CSE , Style Manual Committee. 2014. Scientific Style and Format: the CSE manual for authors, editors, and publishers, 8th edn. Wheat Ridge, Colorado, USA: Council of Science Editors. 722 pp.
[3] AMA. 2007. AMA Manual of Style: a guide for authors and editors, 10th edn. New York: Oxford University Press [and American Medical Association]. 1010 pp.
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