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カンマの使い方に関する6つのミス
[本記事の図は、GrammarCheckによって発表されたものを、許可を得てここに再掲載したものです。]
カンマ(,)は、センテンス内の要素を必要に応じて効果的に区切ることができる、もっとも便利な句読点の1つです。センテンス内のアイデアを区切るために使われるカンマは、文章を読みやすくし、意味を正確に伝えるために欠かせないものです。しかし、その効果を発揮させるためには、カンマを適切に使わなければなりません。
カンマの用法には、いくつかのルールがあります。たとえば、連続する3つ以上の語、句、節を区切るときに使います(例:I ate eggs, bacon, and toast. [私は卵、ベーコン、トーストを食べた])。あるいは、文章の流れを止めることなく補足的な情報を加えたいときにも使います(例:I was talking to Mrs Norris, our next-door neighbor, when the first shots were fired. [最初の花火が上がった時、私は、近所に住んでいるノリスさんと話をしていた])。
このように、比較的明確で守りやすいルールがある一方で、分かりにくいものもあります。たとえば、「カンマは、混乱や誤読を防ぐために必要に応じて使わなければならない」(Purdue OWL: Extended Rules for Using Commas)という決まりがありますが、この基準は曖昧であるため、不要な位置や誤った位置に配置するなどの誤用を招く可能性があります。
残念ながら、研究者の論文にも、カンマに関するミスはよく見られます。句読点のミスがない論文を投稿するためには、カンマに対する意識を高める必要があるでしょう。
論文執筆時に研究者が犯しがちなカンマに関する6つのミスを、下記の図にまとめました。また、図の後には、アカデミックライティングにおける正しいカンマの用法を例文とともに紹介しています。
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カンマに関するよくある6つのミス
【カンマ・スプライス(カンマによる接合)】
完結している2つの文や節をカンマでつないでしまうことを、カンマ・スプライスと呼びます。
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例:「Nikki took my scissors, she replaced them with a broken pair.」(ニッキにハサミを取られた、彼女はそれを自分の壊れたハサミと交換した。)
完成した2つの文をカンマでつなぐのは、不適切です。このような場合は、より強い句読点を使いましょう。
・2つの文をカンマなしでつなげると、切れ目のない分かりにくい文章になってしまいます:
NG: “That frog is slimy I don’t want to touch it.”(カエルはヌルヌルしている私は触りたくない。)
・2つの文を独立させましょう:
OK: “That frog is slimy. I don’t want to touch it.”(カエルはヌルヌルしている。私は触りたくない。)
・セミコロンを使うこともできます:
OK: “That frog is slimy; I don’t want to touch it.”(カエルはヌルヌルしている;私は触りたくない。)
・接続詞を使いましょう。その場合は、接続詞の前にカンマを挿入します:
OK: “That frog is slimy, so I don’t want to touch it.”(カエルはヌルヌルしているので、私は触りたくない。)
【インターラプターの使い方】
インターラプターとは、補足情報や感情を示すために文中に挿入される語、名前、句、節です。文章の流れを遮る場合は、インターラプターの前後をカンマで区切りましょう。
OK: “I think you should know, since it might make a difference, that your shoes don’t match.”(知っておくべきだと思って、一応言わせてもらうけど、その靴は君に似合っていないよ。)
【シリアル・カンマ(オックスフォード・カンマ)】
一文に3つ以上の言葉を羅列する場合に、最後の言葉にカンマが付いていたりいなかったりするケースがあります。カンマを付けないと、混乱を招く可能性があります。
・ シリアル・カンマあり:
OK: “We invited the rhinoceri, Washington, and Lincoln.”(サイ、ワシントン、リンカーンを招待した。)
・シリアル・カンマなし:
NG: “We invited the rhinoceri, Washington and Lincoln.”(サイのワシントンとリンカーンを招待した。)
・以下の文でシリアル・カンマを使うと、朝食に食べたものの話になります:
NG: “I had eggs, toast, and orange juice.”(私は卵、トースト、オレンジジュースをとった。)
・カンマがないと、トーストとオレンジジュースに話しかけているように読めてしまいます:
NG: “I had eggs, toast and orange juice.”(ねえトーストとオレンジジュース、ぼくは卵を食べたよ。)
【入れ替え可能な形容詞】
形容詞が2つある場合、語順を変えても文書の意味が変わらなければ、それらを区切るためにカンマを使わなければなりません。形容詞が同じ名詞を形容しているなら、それらを入れ替えることができます。
・入れ替え可能な形容詞:
OK: “I’d love to eat a hot, juicy cheeseburger right now.”(出来立てのジューシーなチーズバーガーを今すぐ食べたい。)
・連続的な形容詞の場合は、カンマで区切る必要はありません:
OK: “I can see the UFO against the dark blue sky.”(ダークブルーの空にUFOが見える。)
【導入句】
文頭に導入句がなくても意味が成立する文の場合では、導入句の後にカンマを付けなければなりません。
OK: “In fact, nobody knew you went home early.”(実は、君が早退したことを誰も知らなかった。)
OK: “No, you don’t have to stare at the pot until it boils.”(いいえ、お湯が沸くまで鍋を見ている必要はありません。)
【文頭の従属節】
従属節が文頭に来る場合は、従属節の後にカンマを付けなければなりません。
OK: “After we examine each and every piece of the model, we can start assembling it.”(すべての部品を確認し終わったら、組み立て始めよう。)
OK: “Once I realized that I had judged the man unfairly, I apologized.」(男性への扱いが不公平だったことに気づき、謝罪した。)
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以上の図から、どのような場合にカンマの使い方が誤りとされるのかを理解できたと思います。ここからは、研究に関連する例文を紹介しながら、この6つのミスを回避する方法を説明していきます:
1. カンマ・スプライス(カンマによる接合):図にあるように、完結した2つの文をカンマで区切るのは誤りです。このような場合は、2つの文をピリオドで区切ります。
誤:The results of six independent experiments did not differ significantly, this indicates that the experimental procedure was reliable.(6つの異なる実験の間に著しい差は見られなかった、これは実験の手順が妥当であったことを示している。)
正:The results of six independent experiments did not differ significantly. This indicates that the experimental procedure was reliable.(6つの異なる実験の間に著しい差は見られなかった。これは実験の手順が妥当であったことを示している。)
2. インターラプター/挿入句でのカンマの使い方:文章において必ずしも必要ではない語、名前、句、節は、カンマで括りましょう(補足情報を丸括弧で区切る手法に似ています)。挿入する節/語の前にカンマを入れて文を一度中断し、節/語の後にカンマを入れて、補足情報の終わりを示しす。
例:Nitrogen, an essential component of proteins, is important to plant nutrition. (窒素は、タンパク質の必須成分であり、植物の大切な栄養源である。)
ここでは、「an essential component of proteins」というフレーズが、名詞「窒素」を修飾する補足情報となっています。このフレーズを省略したとしても、文章の意味は保たれるので、挿入句の前後にカンマを配置します。
3. シリアル・カンマ:オックスフォード・カンマとも呼ばれるシリアル・カンマは、言葉やフレーズの羅列の最後に使う「and」の前に任意で置かれるカンマです。複数の言葉を羅列するときに、文章を読みやすくする働きをします。
例:Mice that were fed the modified diet lived longer, weighed less, and had smaller litters than the mice in the control group.(改変食を与えられたマウスは、対照群のマウスよりも長く生き、体重が少なく、小さい子供を産んだ。)
4. 入れ替え可能な形容詞:同じ名詞を形容する2つ以上の入れ替え可能または等位の形容詞は、カンマで区切る必要があります(例:「I’d love to eat a hot, juicy cheeseburger」)。これらの形容詞の順序を入れ替えたり、「and」で区切ったりしても、修飾されている名詞や本来の文の意味に変化はありません。以下の例文では、「reliable」と「quantitative」という形容詞が、名詞「method」を等しく形容しています。
例:A reliable, quantitative method for estimating disease incidence is required.(疾病の発生を予測する、信頼性の高い、定量的な手法が必要である。)
累積形容詞: 2つ以上の累積形容詞または等位でない形容詞は、等位形容詞とは異なり、名詞を等しく形容してはいません。したがって、これらの形容詞をカンマで区切ってはなりません。以下の例文における形容詞「significant」と「positive」は、名詞「effect」を等しく形容しているのではなく、「significant」は、「positive effect」というフレーズを修飾しています。したがって、「significant」と「positive」をカンマで区切るのは不適切です。
例:The two regulatory molecules had a significant positive effect on protein expression.(2つの制御分子は、タンパク質の発現に著しい正の効果を示した。)
5. 導入句:導入句は、文脈を説明する不完全な節であり、主節の前に配置し、後ろにカンマを加えなければなりません。以下の例文では、「in this study」という前置きが、次の文とカンマで区切られています。
例:In this study, we compared the effectiveness of two plant extracts as antifungal agents.(この研究では、2種類の植物エキスの抗真菌薬としての効果を比較した。)
6. 文頭の従属節:文が従属節で始まるときは、従属節の直後にカンマを付けます。従属節とは、単体では意味をなさず、主節なしでは成立しない節です。以下の2つの例文では、「If the establishment and growth of legumes are promoted by fire」と「after incubation for two days at 40°C」という従属節は、単体では意味をなしていません。したがって、主節との間にカンマを挿入する必要があります。
例1:If the establishment and growth of legumes are promoted by fire, legumes may be able to promote the recovery of the N pool.(豆果の定着や成長が火によって促進されると仮定すると、豆果はNプールの回復を速める能力を持っている可能性がある。)
例2:After incubation for two days at 40°C, samples were subjected to further analysis.(サンプルを40℃で2日間培養した後、さらなる分析を行なった。)
以上が、論文でよく見られる、カンマに関する6つのミスです。これらのミスについてご存知でしたか?今回のアドバイスや例文は役に立ったでしょうか。カンマの使い方でほかに困っていることはありますか?皆さんのご意見をぜひお聞かせください!
また、英語論文の執筆でお困りの際は、プロの手を借りるのも1つの方法です。エディテージでは、英文校正サービスや投稿支援サービスを提供しています。このようなサービスの利用も検討してみましょう。
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