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キーワードを求められるのはなぜか?
掲載されるということは、伝えるということです。ジャーナルは論文を掲載することで、読者に研究を伝えているのです。しかしながら、研究者が定期的に購読しているジャーナルは、たいてい数冊です。それも、自分に一番関係のあるトピックに重点を置いているジャーナルであることが一般的です。
例えば、リウマチ学の研究者ならばJournal of Rheumatologyを読んでいるでしょうし、環境経済学の研究者であればJournal of Environmental Economicsを読むでしょう。こうした専門家向けのジャーナルに加えて、多くの研究者がNature やScienceといった、学際的なジャーナルを一つ二つは読んでいます(少なくとも、目次のページは見ています)。最先端情報を得るために読んでいるわけです。しかし、ある研究者に関係のある論文が、その研究者が定期的には読んでいない、あるいは全く読んでいないジャーナルに掲載されているかもしれません。こんな時、検索エンジンとインデックス・サービスが役に立ちます。それにはキーワードが必要なのです。
キーワードとはすなわち情報へのカギです。いつものジャーナルを読んでいるだけでは気がつかないかもしれない、重要な論文を教えてくれるのがキーワードです。重要な論文が見落とされてしまうことがあるのは、定期的には読んでいないジャーナルに掲載されているからです。また、研究者がいつも読んで「いる」ジャーナルに載っている時でさえ、重要だと気づかないことがあります。というのも、(その論文を読んでいる研究者の研究と)関係のある言葉がタイトルに入っていない可能性があるからです。キーワードがなぜ役に立つのか、例を上げて見てみましょう。「糖尿病の治療に対する新たな試み(‘New approaches to the treatment of diabetes’)」というタイトルの論文では、ある漢方薬がいかに治療に役立つかが述べられています。けれども、タイトルにはそのことが書かれていませんし、漢方薬という言葉も挙げられていません。こうした論文にふさわしいキーワードとしては、漢方薬の学名が挙げられるでしょう。挙げられている漢方薬名をどれか検索することで、他の研究者がその論文を見つけることができるのです。
ですから、タイトルに入っている単語をキーワードとして使ってはいけません。タイトルの情報を補うのがキーワードの役目なのです。タイトルの単語は自動的にインデックスに入りますので、キーワードには論文を探す付加的な手がかりの役目があります。最後に、キーワードはどうやって選べばいいでしょうか?いくつかアドバイスしましょう。
- 特定の地域(地理、気候など)に焦点を当てた論文であれば、地域をキーワードにする(半乾燥熱帯(semi-arid tropics)、極地域(the polar region)、針葉樹林(coniferous forests))。
- 実験材料やテクニックを考慮する。適切なキーワードになりうる(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、アルカロイド(alkaloids)、X線結晶の(x-ray crystallography)、動物の肥料(animal dung))
- 潜在用途がキーワードにならないかチェックする(有機農法(organic farming)、treatment of cancer(がん治療)、長期保存(long-term preservation)、エネルギー効率(energy efficiency))
- 特定の現象や問題をキーワードとして使う(気候変動(climate change)、大気汚染(air pollution)、持続可能な開発(sustainable development)、遺伝子工学(genetic engineering))
- タイトルに含まれている単語や句はキーワードにしない
適切なキーワードの選び方についてさらに詳しく読んでみたいかたはこちらをどうぞ。
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