自然科学以外のコミュニティでは科学をどのようにとらえているか?

自然科学以外のコミュニティでは科学をどのようにとらえているか?

一般の人々が科学をどのようにとらえ、研究者に対してどう思っているのかわかったら面白いですね。科学に対する意識調査(Public Attitudes to Science (PAS)) 研究は、科学以外のコミュニティが科学をどのようにとらえているか把握しようとする試みです。PAS 2014 は、イギリスにおいて科学、科学者、科学政策に対する意識を調べた一連の研究の5回目にあたります。調査は、イギリスで2番目に大きな市場調査団体であるイプソス・モリ(Ipsos MORI)社が、英国科学協会の提携のもと調査を行いました。
 

PAS 2014 では、全国規模の対面調査と平行して、ソーシャル・リスニングやIpsos MORI Connects というオンラインコミュニティでの調査が行われ、オンラインおよびオフラインで科学とどのように関わりあっているか、明らかにしようとしました。

さらに、イギリス政府が策定した8大技術のうち4つに対する意識も調査しました:ビッグデータ、農業科学、ロボット工学、再生可能エネルギー技術の4つです。2014年は、16歳以上の成人1,749名(本調査)と16歳~24歳510名のデータをもとにしています。


興味深い調査結果を以下に挙げてみました:
 

  • 科学者は自分が求める答えを得るために、結果を調整していると考える人は35%、科学の研究は発表の前に他の科学者によってチェックされることはない、あるいは非常にまれと考える人は29%でした。
     
  • メディアが科学をセンセーショナルに取り上げていると考える人は71%。
     
  • 科学についてほとんど見聞きしない、といまだに答えている人は半数、つまり51%であるのに対し、「科学者は、普通の人が考えていることに対し、もっと耳を貸すべきだ」と考える人は69%いました。
     
  • 科学がもたらす利益は有害な影響よりも大きい、と答えた人は55%いました。
     
  • 大学で働く科学者を信頼していると答えたのは90%でした。政府で働く科学者の場合は74%、慈善団体の場合は88%、私企業の場合は60%でした。

     
  • 若者の科学に対する興味が将来の繁栄にとって必要だと答えた人は、91% いました。
     
  • 科学は斜陽産業だと答えた人は66%、学者はコミュニケーションが下手だと感じていたのは40%でした。
     
  • 日常生活で科学について知るのが大切だと考える人は72%。
     

調査結果の詳細な報告はこちらをご覧ください。


The Guardianでブログをやっている学者兼教師のアリス・ベル氏は、このデータを読むときは、この調査が一般の人の意識に関するものであって、一般の人の理解に関するものではないということを、考慮しなければならないと指摘しています。彼女によれば、イギリスやヨーロッパでは、人々の知識の検証ではなく、人々が科学との間に持つ社会的関係が注目される傾向があるということです。こうしたデータは曖昧なものに見えるかもしれませんが、科学をとりまく社会的文脈を理解すれば、役立つ情報を手に入れることができます。このような調査をすることで、人々は社会における科学に関する先入観に疑問を持つようになり、学者は自分たちが一般の人にどのように思われているか垣間見ることができます。


あなたは、こうした調査が科学の役に立つと思いますか? あなたから見て、科学以外のコミュニティでは科学はどのようにとらえられているでしょうか? ぜひご意見を聞かせてください。

 

 

 

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