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著者名の順番を決める
以前書いたオーサーシップに関する記事では、研究に貢献した人に著者としての資格があるかどうか判断するための手がかりとなるICMEのガイドラインを取り上げました。今回の記事では、複数の著者がいる論文での著者名の並び順について取り上げます。研究論文では、著者名の順番をよく考えて決めなければなりません。順番を決める前に、第一著者と責任著者(コレスポンディング・オーサー)がどういうものか理解しておくことが大切です。
誰が第一著者になるべき?
第一著者になるのは通常、もっとも重要な知的貢献―研究デザインの構築、実験データの解釈と分析、論文原稿の執筆―を行なった人です。第一著者の重要度は、‘Jones et al. report that…’のように、第一著者の名前で論文の引用を行うという慣例に反映されています。Ph.D. の学生のキャリアにとっては、論文の第一著者になって発表することは非常に重要なことです。世界中どこでも、Ph.D. の課程では、学生は少なくとも一本は第一著者論文を発表しなければ、学位をとる資格は得られません。そのため、Ph.D.の学生が2人、学位のために同じプロジェクトに同じ程度関わっているとしたら、オーサーシップをめぐる争いは避けがたいものになるでしょう。ポスドクの研究者や年長の教授にとっては、研究費の獲得、昇進や再雇用のために第一著者での論文発表が重要です。ですから、論文発表においては著者リストの一番初めに名前が来ることが重要視されるのです。
第一著者の後に続く著者名は、研究への貢献により決まるのが普通で、一番寄与が大きい人から、一番寄与が小さい人へと並びます。けれども時には、複数の著者が同じくらい貢献していたかもしれません。そんな場合は、著者の並び順は重要でなくなるので、ジャーナルの編集者にそのように伝えてもかまいません。オーサーシップをめぐる争いが起きないようにするため、研究の開始時にオーサーシップや 著者名の順番について決めておいたり、研究の期間を通じて、それぞれの貢献者の記録を取っておくのもよいことです。
責任著者(コレスポンディング・オーサー)の役割って?
論文を投稿する時、著者の一人を責任著者にするよう求められます。責任著者とは、論文の審査状況、査読者のコメント、最終決定を含めすべての通知をジャーナルから受け取る人のことです。ジャーナルは責任著者を純粋に管理上の役割とみなしていますが、年功序列制と関連させる文化もあります。連絡先が近い将来が変わる可能性が少ない、研究グループのリーダーや年長の研究者が責任著者になることが多いです。研究の主要な貢献者がグループのリーダーである場合は、第一著者と責任著者の両方になることもあります。
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How to ensure ethical authorship when collaborating as researchers
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