査読コメントへの答え方

査読コメントへの答え方

自分で選んだジャーナルに、苦心して書いた研究論文を投稿したら、ジャーナル・エディターから論文に関する決定を聞くまでの数週間(数ヶ月)は、きっと不安でハラハラしていることでしょう。ジャーナルの決定と査読コメントは、それらを実際的に扱う準備さえできていれば、別に飲み込めないほど苦い薬というわけではありません。
 

査読コメントへ回答するためのアドバイス

著者としては、コメントで大きな修正を求められるのではないかと不安かもしれません。すでに大変苦労して作ったものを改変するのは、気力をなくすような思いがします。しかし、あきらめないでください。最終的に努力するだけの価値がある結果になることがほとんどです。査読コメントへの対応の仕方についていくつかアドバイスしましょう。

 

<査読コメントに答えるための3つのルール>
漏れなく答える、丁寧に答える、根拠を伴って答える


一休みする:
はじめのうちイライラするのは、きわめて当然のことです。一休みしてから、きちんと理解しているか確かめるため、もう一度慎重に、客観的に査読コメントを読みましょう。 

コメント1つ1つに回答する:
査読者の指摘の数を確認し、順番に答えます。“Reviewer 1”、 “Comment 1”のような見出しを使いましょう。そうすることで、著者がやったことをエディターや査読者が把握しやすくなります。査読者やジャーナル・エディターが指摘したはずのポイントには、すべて欠かさず対応するのが不可欠です。

 

しっかりした根拠のある議論を示す:
仮に査読コメントに賛成しかねる場合は、そのように述べるべきです。けれども、意見の相違があると単に述べるのではだめです。査読者に自分の論理の筋道を理解してもらうため、必要な限り詳しく述べましょう。自分の議論を支えるため、可能であれば、すでに発表されている研究を引用しましょう。


細かいところにまで注意する:
査読コメントに書かれていた懸案事項に対しいかに対処しているか説明する場合、詳細(を書くこと)が重要になります。たとえば、データを加える/再解釈する必要があると査読者に指摘されたならば、著者は自分が行った検証や得られた結果について詳しく述べ、こうした情報を追加した箇所がどこか言及しましょう。気を遣って、査読者の示唆に従い論文に付け加えたり修正したりした文そのものを、貼り付けてもよいです。そうすることで、エディターや査読者が修正前後のファイルを取り違えるトラブルを起こすのを防ぎます。

 

口調に注意する:
覚えておいてください。査読者はあなたの研究を批評しているのであって、あなたを批評しているわけではないのです。恨みつらみを回答に表してはいけません。賛成できない点がいくつかあっても、正直に(ただし礼儀正しく)そう言いましょう。その上で、文献を引用し、合理的で科学的な説明によってあなたが言いたいことを裏づけます。

 

査読者の研究を十分に理解する:
査読者はあなたの論文の査読に自分の時間を割いてくれているのです(それも報酬なしで)。ほとんどは、著者が研究を良くする手伝いをすることを意図しています。査読者のアドバイスを活用しましょう。実際に、コメントが詳しく長いということは、査読者があなたの研究を評価し、建設的なフィードバックをするために時間を費やしてくれたということです。査読者の心遣いと労力に感謝するのを忘れずに。


査読者は常に正しいのか? 

査読者は基本的にはその専門分野のエキスパートです。けれども、だからといって彼らのコメントを福音のようにとらえなければならないというわけではありません。査読コメント一つ一つをその真価にもとづいて評価します。単に同意するためだけに査読者に同意したり、ジャーナル・エディターから査読コメントをすべて取り入れるよう求められていると誤解して同意したりするのはやめましょう。結局のところ、問題なのはあなたの研究とあなたの評判なのですから。


査読者からのフィードバックが矛盾していると気づくこともあるでしょう。一人の査読者は方法論に満足しているのに、もう一人の査読者は適切でないと考えているかもしれません。ちょっとした意見の相違が見られるのは当たり前のことですが、こうした全く正反対の見解ですと混乱しかねません。どちらの査読者により賛同するかを考え、そちらのアドバイスに従い、エディターに自分の判断が正しい理由を示しましょう。あるいは、エディターに第三の意見をもらえないかと頼むこともできます。結局のところ、査読コメント間の矛盾にいかに対処するか決めるのはジャーナル・エディターです。理路整然とした議論を示せば、あなたに有利に働く可能性が高いでしょう。

大きな変更の要請に対処する

単語数を減らす: 論文は採択されましたが、論文をたとえば、3分の1に縮めるようジャーナル・エディターから求められることが、時にはあるかもしれません。質の高い論文を掲載しようと努力する中で、エディターはしばしばスペース不足という問題に直面するため、一見すると不当に見えるこの要求も許されることが多いです。この要求に応じるほかは選択の余地がないことは、間違いないでしょう。 

追加データと本文の(提出)要求: いくつかの文を微調整することから段落全体の修正まで、査読者は様々なタイプの変更を要求するでしょう。時には、たくさんのデータセットや1ページを越える本文を追加するよう求められるかもしれません。指摘された変更点が論文の扱う範囲内であり、あなたもそれに同意するならば、まずはスペースの制約上追加が可能かどうかについて、ジャーナル・エディターに相談してみてください。
 

結論

たいていの場合、査読コメントはあなたの論文をより良くする絶好の機会になります。適切に対処することにより、たとえそのジャーナルでなくても、少なくともどこかの場で採択されるチャンスが増えるでしょう。査読コメントへの回答に対する詳しいアドバイスを武器に、きっとこれまで以上に自信を持って査読プロセスに対応することができるでしょう。 


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参考文献一覧

  1. Williams H.C. (2004). How to reply to peer review comments when submitting papers for publication. Journal of the American Academy of Dermatology, 51, 79–83.
  2. Samet J.M. (1999). Dear Author—Advice from a Retiring Editor. American Journal of Epidemiology, 150, 433–436.

 

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