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引用を使った尺度(citation metrics)の乱用に反対の立場
優先順位をつけるという衝動とは別に、出世は、論文を書き発表するという研究者のモチベーションを上げる大きな力です。研究者は研究論文を発表し、さらに、その論文のテーマに関係のある他の論文のリストを添えます。科学的研究を測定し分析する科学である科学計量学の全体的な体系は、この2つの事実の上に成り立っています。科学計量学の副産物とし生まれたのが、citation indexesと、ジャーナルのインパクト・ファクターとして最も広く知られているインパクト・ファクターです。簡単な尺度という便利さは科学の行政官には魅力的で、ジャーナルのインパクト・ファクターにその影響力を与えたのです。しかしながら、研究者自身は次第に、こうした尺度を警戒するようになっています。最近こうした懸念が現れたのが、今までのところ1万人を超える研究者と、400を超える研究機関が署名した、DORA、つまりDeclaration on Research Assessmentです。
宣言では、「科学的研究のアウトプットが助成団体、研究機関、その他の団体により、評価される方法を改善するため」一連の提言がなされています。「雇用、促進、資金援助の決定において、ジャーナル・インパクト・ファクターのようなジャーナルベースの尺度」は使わず、個々の研究の質を測る代わりの尺度を使い研究者の貢献度を評価する」という、すべての団体に求める一般的な提言が一つなされました。またそれとは別に、残りの17の提言はいくつかのカテゴリーに分けられます。助成団体に関する提言が2、研究機関に対する提言が2、出版社への提言が5、尺度を供給する組織への提言我4、研究者への提言が4あります。
サンフランシスコで開催されたthe American Society for Cell Biology (ASCB)年次大会中の、2012年12月16日に、この問題に関心を持つ編集者と学術出版の出版者が会合を開いたことから、DORAが生まれました。
提言no.16は、個人の研究者としてすぐに実行できることです。「適切な場合は、認めるべき時に認めるために、レビューではなく、観察結果を初めて報告した一次資料を引用しなさい(“Wherever appropriate, cite primary literature in which observations are first reported rather than reviews in order to give credit where credit is due.”)」。DORAへの署名に関する詳細は、DORA's websiteをご覧ください。
もっと読みたい方のために、インパクト・ファクターとDORAについて論じた記事を紹介しましょう:インパクト・ファクターの進展と衰退(The advance and decline of the impact factor)
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