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効果的な論文構成:論文を通して価値あるアイデアを伝える方法
序論(何を研究しているのか、とその理由)
研究と課題設定の背景を明確に提示するためにこのセクションを利用します。多くの読者があなたの研究の重要性を即座には理解しない可能性があるということを念頭に置く必要があります。そこで、一般的な用語を用い、論理は詳しく説明し、読者があなたの研究の主となる課題や目的を理解できるようにしましょう。
守るべき掟
- 研究に着手した理論的根拠を述べる
- その研究が、関連分野にいかに大きな貢献ができるのか、また、学問を前進させられるのかを説明する
- 研究課題を明確に述べる
- 研究の基となる理論的枠組みを説明する
- 主張を裏付けするために他の研究を引用して、あなたの研究で理解あるいは解決しようとしている課題、または問題の背景を示す
- 該当トピックについての現時点での認識状況を、それが適切であるとみなす先行研究を引用しながらまとめる
- 該当トピックに関して過去に出版された全ての研究をレビューする
研究方法(何をしたのか?)
あなたの研究の独自性が最も出るのがこのセクションです。周到に実施された実験の第一の基本は、それが再現可能であることです。言い換えると、別の研究者があなたの研究論文内に詳しく述べられた研究方法に従い、その研究結果を再現することができるということです。
守るべき掟
- 研究の方法、手法、器具の全ての詳細を示す
- 実験装置の写真や図解を含める
- 質問や調査、その他データ収集の手段を記述する
- 分析方法や手段の有効性と信用性を裏付けする研究を示したり引用したりする
- 研究の設備や環境を記述する
- 分析方法とそれを選択した理由を説明する
- 研究方法の記述が長くなるのを避けるためだけに重要な詳細事項を省かない
実験結果(何を発見したのか?)
このセクションにはデータと結果の全ての詳細を盛り込みます。文章内で最も重要な研究結果を強調してから重要度の低い研究結果へと進めます。このセクションは、読者が時間をかけて読まなくてもあなたの実験結果を理解できるようでなければなりません。
守るべき掟
- 表や図を効果的に使用し、ひと目で理解しやすいように結果を示す
- 一般概念を提示するのではなく、実際のデータを説明する
- 主要な研究結果を文章で述べる
- 予期しなかったり、驚くような実験結果があれば文章内で強調する
- 単に統計データを示すのではなく、実験結果が何を述べているのかを説明する(例:「 X とY には.73の明白な相関関係があった」よりも「 XがYとともに実質上の増加を見せた(その後で統計データを示す)」 とする。)
- 図や表で研究結果を説明したら、これらの結果の細かい説明を本文には入れない
考察(研究結果は何を意味するのか?)
優れた考察とは、一定の結果を広範な意義に拡張し、序論で示した一般的な背景と関連付け、論文全体の影響力を極限まで高められるようなものです。従って、考察と序論のセクションを行き来することを忘れないようにしましょう。
守るべき掟
- まず初めにあなたの仮説が裏打ちされたのかを示す
- 結果が何を示唆するのか解釈を与える
- 例えば、あなたの研究結果は先行研究の結果から逸脱するのか、もしくは支持するのか等、あなたの研究結果と先行研究との関連付けをする
- その研究がどのように既存の知識に付加するのか説明する
- 研究結果の他のありうる解釈を述べることを忘れない
- その研究の限界を取り上げる
- 単なる結果の繰り返しはしない
- データによる裏打ちのない結果を導き出さない
結論(研究から何を学んだのか?)
このセクションでは系統立てて述べた課題と関連付け、中心となる結論を述べます。読者は本文のこの部分に辿り着くまでに、あなたが何をしたのかや研究の成果を理解でき、何故、どのようにその結論に達したのかも理解できるように記述されているべきです。
守るべき掟
- 研究であなたが学んだことを説明する
- あなたの研究課題や提示した研究目的と結論とを確実に直接関連付けする
- 研究の広範な意義を詳細に説明する
- 研究から得た知識を前進させる特定の将来的な研究方法を提案したり、研究で取り上げなかった課題に答えたりする
- 自分の研究の過大評価や、事実上その研究が裏打ちしない結論や提案を示す研究結果の拡大解釈をするような結果の「一般化」をしない
- 単に結果を要約しない
異なるグループの読者に向けて執筆する
- 優れた執筆者は、色々なタイプの読者が何をあなたの論文に期待しているのか知っています。そして、読者のバックグラウンドや期待に合わせて論文を構成することができます。その学問分野に関する知識が少ない、もしくは全く無いような一般の読者でも、あなたが何を、何故、実施したのかについて大まかな理解が出来るべきでしょう2。
- 専門用語は避けましょう。一般的に使われなかったり、ごくわずかな読者しか知らないような用語に関しては特に、重要な用語を使用する際には定義を明確にしましょう。
- もしあなたが述べていることが、その学問分野の専門家しか理解できないとすると、その論文は広範な読者層には読んでもらえないでしょう。あなたが研究している課題や理論に読者を引き込むのです。読者があなたの研究テーマについて熟知していると想定するのはやめましょう。
解説なし: We investigate the role of reduced monoamine oxidase B (MAO B) activity in smoker behavior. 良い書き方: The enzyme monoamine oxidase B (MAO B) is involved in the breakdown of dopamine, a neurotransmitter implicated in reinforcing and motivating addictive behaviours such as smoking. MAO B inhibition is therefore associated with enhanced activity of dopamine. We investigate the role of reduced MAO B activity in smoker behavior.
結論
優れた執筆者となるためには、論文の執筆中は読者を念頭に置きましょう。優れた構成の論文原稿は、あなたのアイデアをよりスムーズに展開させ、さらに原稿内の各部で期待される内容を読者に伝えてくれます。
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