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論文の共著者として誰を入れることができるか?
事例
ジャーナルに原稿を投稿したところ、「大幅な修正をすれば採択(accept with major revisions)」という編集からの決定が著者のもとに届きました。査読者からは、採択になるため、新しい実験・分析をいくつか行うよう勧められました。修正にはかなりの量の改訂が含まれていましたが、著者は同僚2名の手を借り、言及された変更をなんとかすべて実行し、最終的には予定通り修正原稿を投稿しました。著者は、同僚がいなければ修正はできなかったと思いましたので、著者は同僚の功績を認め、論文の共著者に彼らの名前を加えることにしました。
ところが驚いたことに、数日後エディターから新しい共著者の追加について尋ねる返事が返ってきたのです。エディターは、新たに加わった共著者が論文にどのように貢献したのか情報を求めていました。また、ICMJEが推奨する著者資格基準を満たしていない場合は、手伝ってくれた同僚の名前は共著者としてではなく、謝辞の節に記載すべきであると示唆されました。
そこで著者は私たちに連絡を取り、追加した共著者が著者資格基準の要件を満たしているか特定するのを手伝うよう依頼されました。
行ったこと
私たちは、新しく追加された共著者のそれぞれが、どんな貢献を行ったか詳しく著者に尋ねました。2名のうち1人は、全体的な統計分析を行い、追加分析をふまえデータの解釈も手伝ってくれたということでした。原稿の特定の節については書き直しも手伝ってもらいました。
2人目の同僚は、著者が論文修正中に行ったきわめて重要な実験に必要で、欠くことのできない試薬の調達をしてくれました。
ICMJEが定めた著者資格基準に基づき、わが社の出版エキスパートは1番目の同僚を著者の資格があると判断しました。理由は、1番目の同僚が
- 研究においてデータの分析・解釈に貢献した
- 追加の研究結果を組み込むため、論文の草稿を修正した
- 発表する研究に対し最終的な承認を与え、研究に対し責任を負うことに同意した。
しかしながら、2番目の同僚による貢献は著者資格を与えるには十分ではありませんでした。 試薬の調達を手伝っただけでした; データの収集を手伝っていませんでしたし、分析あるいは論文の修正において何ら重要な役割も果たしていませんでした。そこで私たちは、2番目の同僚の名前は、共著者としてではなく、謝辞に記載すべきだと提案しました。
著者は私たちの見解に同意し、1人目の同僚を共著者として加え、2人目の同僚は謝辞に記載すると、エディターに伝えました。また、それぞれの同僚がどのような貢献を行ったか、その質をはっきりと述べました。エディターは以上の手配に納得し、論文は掲載の運びとなりました。
要約
ICMJE ガイドラインによると、著者資格は以下の基準をもとにしています:
- 研究の構想、もしくは計画に対する相当の貢献; あるいは研究データの収集、分析、解釈に対する相当の貢献; および
- 研究の草稿を書く、もしくは重要な知的内容について批判的に修正する; および
- 論文の掲載直前の版に対する最終的な承認; および
- 研究の何らかの部分の精度もしくは完全性に関する疑問が、適切に調査・解決することを保証するため、研究のすべての側面に責任を負うことへの同意。
すべてのジャーナルが著者の貢献を述べるよう、はっきりと求めているわけではありません:すべてのジャーナルで貢献(資格)についての文章の提出義務があるわけではないですが、カバーレターで著者たちの個々の貢献 を列挙するのは実践として優れていると一般に考えられています。けれども、修正論文を投稿するとき著者リストに何か変更があった場合は、それ以上の面倒を避けるために、著者たちがどんな貢献をしたか、その質について明確に説明する必要があります。
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