「助成金申請書を初めて提出しました!」
今週は、人生初の助成金申請書の締め切りがありました。申請は大変な作業でしたが、不思議なことに、それを楽しんでいる自分もいました。書くことが好きなので、普段使わないような言葉を使う機会にもなり、良い経験ができました。先輩の研究者たちはすでに何度も申請を行なっており(そのほとんどがリジェクトされてもいて)、その作業を楽しんでいるようには見えませんが、私はまだ経験が浅いこともあり、楽観的な性格も功を奏しているのかもしれません。とは言え、予算の獲得を確信するほどの楽天家ではありません。ただ、このプロセスをポジティブに楽しむ自信があるということです。
博士課程では鳥類の精子の進化について研究していますが、別の方向に進みたいため、助成金申請書では、過去に研究していた鳥類の行動と生態について取り上げることにしました。いよいよ終わりに差し掛かっている博士課程の研究も非常に楽しんでいるのですが、自分にはやはり生態学が向いていると考えています。進化論と生態学を組み合わせた研究が私の理想なので、「Identification of 100 fundamental ecological questions(生態学における100の基本的疑問の確認)」というタイトルを設定し、自分がどのような疑問に答えたいのかを考えました。その結果、環境の変化に対する動物の反応、とくに行動上の反応に関するテーマにもっとも強い関心があることが分かりました。次は、一緒に研究をしてくれる人を探す必要がありました。私が申請した助成金は、海外の研究機関に 2年間在籍する必要があり、博士課程の専門分野から離れることもあって、適当なコネクションを持っていなかったのです。
目標は高い方がいいと思い、勇気を振り絞って、英国(海外に行くなら英国がいいと思っているので)の高名な大学に所属する生態学の権威にアプローチし、共同研究を行わないかともちかけました(私に失うものはありませんから)。嬉しいことに、彼はとても熱心で、自分のパートナー(鳥類の進化を専門とする研究者)までプロジェクトに参加させてくれました。3人で仮説や適切な研究システムについてアイデアを出し合い、最終的に3年間で完了できそうなプロジェクト計画を完成させました。私は腰を据え、シソーラス(類語辞典)を駆使しながら、英国での学位取得時に受けた履歴書の書き方講座で習ったことなども総動員して、あらゆることを書き出しました。この申請書では、主に自分自身のスキルや経験について書きますが、ノルウェー人は英国人ほど自分について良く書こうとはしない(またはそれに慣れていない)ように感じます。だからこそ、英国のシステムを通ってきたことは、私の強みだと思っています。しかし、そんな考えが見透かされたのか、ノルウェー人の指導教官からは、あまり得意にならないようにと言われてしまいました。それはさておき、オックスフォードの教授たちは私の申請書を見て、「とても感心した」と言ってくれたのが、今回のハイライトです!この言葉だけで、しばらく生きていけそうです!
申請書を提出した今は、幸運を祈ることしかできません。結果は11月か12月になるそうなので、さしあたっては、予算を受けられないことを前提に今後の計画を立てようと思います。逆の結果になれば、それは嬉しい誤算になるだけだからです。同時に、本業である博士課程の研究を終える必要もあります。正直なところ、明確な締め切りがあった申請書執筆中の日々と比べると、研究を淡々と行う日常は少し気が抜けてしまいそうです。しかし、幸いにも、契約満了日はそう遠くありません…。そろそろ、仕事に戻った方が良さそうです。一流誌に投稿した、博士課程の集大成となる論文が大幅修正の判定(リジェクトではない)を受けているので、やるべきことがたくさんあり、楽しみです。論文は近々掲載されるはずなので、ぜひご覧ください。
また、愛する動物たちに囲まれていることにも、幸せを感じています。彼らがいない生活は考えられません。とくに、私の注目を一身に浴びようとする馬のトッパーは、すべてを忘れさせてくれる癒しの存在です。仕事の合間に自然の中で彼らとともに過ごしてリフレッシュすることで、その後の研究活動が確実にはかどるようになるのですから。それに、心の健康も保てます。夏が待ち遠しいです!
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ハンナ・ニューボア・ストスタッド(Hanna Nyborg Støstad、@hannastostad)氏は、フリーランスのサイエンスライター兼オスロ大学客員研究員です。この記事は、2018年4月26日にハンナ氏の ブログで公開されたコンテンツ(こちらでご覧頂けます)を、許可を得てここに再掲載したものです。
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