質問: 科学研究不正
質問の内容 -
私がドクターコースの時に参加した実験研究です。担当教官の免疫染色マーカーの誤認に私が気付き、すぐにその誤りを指摘したのですが、教官は私の言葉を無視し続け、誤った結果を雑誌に送りました。共同研究者全員の同意を得ていないということで拒絶されたが即他の雑誌社に投稿し受理された。定説を覆したということで英雄気取。今後の悪影響を懸念する。
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回答:
目の当たりにした研究不正について、ジャーナルには以下の懸念を訴えることができるでしょう:
- 共著者の同意なしに論文が投稿されたこと(あなたが共著者であった場合)
- 剽窃もしくは著作権の侵害があったこと(あなたが、共著者ではないものの、論文の作成に関与していた場合)
ただしジャーナルは、以下のような、その訴えの根拠を示すよう求めるでしょう:
- 逸脱行為に関するあなたの警告が記された、当該担当教官に宛てた書面
- その指摘自体の妥当性(「免疫染色マーカーの誤認」が本当に正しかったのか否か)
したがって、ジャーナルに訴え出る前に、ご自身の主張のエビデンスを示せるかどうかを検討してみましょう。
ジャーナル側が示す解決策としては、以下が考えられます:
- 論文を取り下げる(撤回する)
- 共著者としてのあなたの名前を削除する(この方法を取れば、学術界でのあなたのキャリアへの影響は免れるでしょう。しかしながら、間違っていると推測されるその研究結果は公開され続け、それを用いた将来の研究が誤った結果にたどり着くリスクがあるため、問題の根本的な解決にはならないでしょう。)
また、“Resolving authorship disputes by mediation and arbitration”によると、ジャーナルは通常、内部の争いは内部で解決することを求めています。したがって、この問題を大学内で解決することも考えた方がよいでしょう:
- 問題について話し合い、担当教官との和解を探る。
- それが難しければ、大学に相談する(大学は通常、このような問題を上層レベルで扱うための手順を定めています)。
- 学内の組織体制に応じて、指導教官(担当教官と別人物の場合)、学部長、当該担当教官の上司等に相談する。
とはいえ、このような手段を取る場合は、担当教官との関係に及ぼし得る影響や、今後の共同研究に及ぼす影響を考慮する必要があるでしょう。
訴訟は最終手段です。これについては法律の専門家に助言を求めましょう。場合によっては法的文書で問題を解決できる場合もありますが、これは免疫染色マーカーの誤認に間違いがない場合に限ります。担当教官は免疫染色マーカーの誤認について外部の確認を求めると思われますが、その場合は私たちの「投稿前の査読サービス」が役に立つかもしれません。このサービスは、方法論の健全性をチェックし、それについて著者に提案を行うものです。(ただし、この提案を考慮するか無視するかは著者次第です。)
問題が、あなたに満足のいく形で、そして学術界にとって良い形で解決されることを願っています。
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