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質問: 以前論文を出版したジャーナルがなくなってしまった場合、別のジャーナルに再投稿できますか?
質問の内容 -
前に論文を出版したジャーナルが、なくなってしまいました。ウェブサイトもなければ、検索エンジンにも引っかかりません。この場合、ほかのジャーナルに論文を再投稿しても問題ありませんか?
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回答:
せっかく出版した論文が「行方不明」とは、残念なことです。すでに試されたかもしれませんが、一度、Internet Archive (論文のURLやキーワードで検索)やInternational DOI Foundation(論文のデジタルオブジェクト識別子[DOI]で検索)で論文を探してみてください。また、今後このような事態になることを避けるために、論文をプレプリント・リポジトリにアップロードしておくようにしましょう。そうすれば、出版元のジャーナルのサイトがなくなってしまっても、論文はプレプリントのサイトに残しておくことができます(プレプリントには、それ以外にもメリットがあります。詳しくは以下の記事をご覧ください:プレプリントが研究の普及に果たす役割)。
また、なくなってしまったジャーナルが必ずしもハゲタカジャーナルであるとは限りません。新興のジャーナルが、資金不足のために運営不能となった可能性も考えられます。とはいえ、今後のためにも、ハゲタカジャーナルを見分けるためのチェックリストを確認しておきましょう:インフォグラフィックス: ハゲタカ出版社を見抜くための10のチェック項目
掲載済み論文を別のジャーナルに再投稿することは、通常、以下の理由から推奨されません:
- 掲載元ジャーナルのサイトが存在していた場合、重複出版と見なされる。
- 掲載元ジャーナルがハゲタカジャーナルだった場合、別のジャーナルに再投稿することや、その論文を業績としてカウントすることは、研究者としての評価にプラスにならない。
- ジャーナルは一般的に、掲載元ジャーナルのサイトがなくなったとしても、(そして、それがハゲタカジャーナルであろうと、信頼できるジャーナルであろうと、)掲載歴のある論文を自誌で出版することに消極的である。
ただし、今回の特殊な状況を考慮して、以下のような対応が考えられます:
- 著作権譲渡書を確認する。論文の著作権譲渡書がインターネット上に残っているかどうかを確認する。また、手元に譲渡書のコピーがあれば、このような状況における著作権の扱いについて記載があるかどうか確認する。
- 新たなジャーナルに、経緯を説明した質問状を送る。別のジャーナルへの再投稿を望む場合は、経緯を記した投稿前の質問状(resubmission inquiry)を送り、ジャーナル側の対応を待つ。
- 自分のホームページや履歴書に、論文の状況を記しておく。論文を再出版できそうなジャーナルが見つからない場合は、履歴書や自分のホームページに、その論文の「掲載元ジャーナルのサイトは現在存在しない」ことを記す。これは理想的な手段とは言えないものの、少なくとも論文を出版した事実は示すことができる。
これらの案を検討して、次のステップを決めましょう。また、今後同じような事態を招かないためにも、回答の前半で述べた点も忘れないようにしましょう。
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