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質問: 症例報告の論文投稿
質問の内容 -
ある併存疾患を有する手術患者さんの症例報告を、外科が国内誌に日本語で投稿しようとしているのですが、この症例は麻酔管理においても重要性があることから、麻酔科として国際誌に英語で投稿したいと考えています。その旨明記した上で国際誌に英語で症例報告を投稿することは可能でしょうか?
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回答:
頂いた情報と、すでに適切な配慮をされているという点を踏まえると、今回の件はとくに問題とはならないでしょう。むしろ、1つの症例を別の医学的見地から眺めることには、多くの利点があるように思われます。
とはいえ、注意すべき点はいくつかあります。
- 念のため、両方のジャーナルに、投稿前の問い合わせを行いましょう。こうすれば、手間を省きつつ、後々生じるかもしれない問題を避けることができます。
- それぞれの論文の内容が、明確に違うものであることを確認し、二重投稿とみなされることがないようにしましょう。症例の紹介や、症状と反応の考察など、一部では重複が生じる可能性があることに注意しましょう。
- 患者の症例が2論文で論じられることから、もっとも重要な点として、守秘義務に関する懸念が生じることが挙げられます。あらゆるセンシティブな情報が特定できないよう、おおいに配慮する必要があるでしょう。必要に応じ、各部門の関係者や中立的な第三者に、症例報告書をレビューしてもらいましょう。
- 最後は、出版にまつわる注意点です。2本の論文に複数の人が関わり、中には両方の論文に関わる人もいるかもしれないことから、オーサーシップの問題が生じないよう、十分に注意する必要があります。各論文の執筆前か、少なくとも投稿前に、著者の貢献度と著者以外の人の貢献度について話し合っておくとよいでしょう。国際医学雑誌編集者委員会(ICJME)のオーサーシップ(著者資格)ガイドラインに目を通しておきましょう。
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