出版倫理に対する中国人研究者の認識
エディテージのグローバル調査報告書2018は、出版倫理の問題への認識を含め、学術出版のさまざまな側面に対する世界中の研究者の考えをまとめたものです。本調査に参加した6903名の回答者のうち、2114名(31%)が中国人で、国別の回答者の割合としてもっとも高いのが中国でした。
中国は、これまで研究界で世界をリードしていた西洋諸国に取って代わり、世界でもっとも多くの研究論文を出版している国になりました。そこで私たちは、出版倫理に関する中国人の回答が、世界全体の回答のパターンとどのように異なっているのかを把握しておく必要があると考えました。
以下のインフォグラフィックは、その回答パターンの違いを示したものです。まずは、それぞれの回答者の在職期間や専門分野の分布を比較し、次に、論文執筆の過程で倫理を順守することの難しさ、剽窃、オーサーシップ基準への認識に関する質問への回答を比較しました。
このインフグラフィックに示されている「全体」の回答は、中国人回答者の回答も含め、今回の調査で得たすべての回答結果をまとめたものです。
出版倫理に関する中国人研究者の認識
Editage Global Author Surveyのデータより:世界全体の研究者と中国人研究者の比較
属性の比較
在職期間
- 5年未満:中国18%、全体11%
- 1~5年:中国43%、全体34%
- 5年以上:中国39%、全体55%
専門分野
- 人文・社会科学:中国8%、全体20%
- 生命科学:中国15%、全体16%
- 医学・保健科学:中国15%、全体26%
- 物理科学:中国19%、全体13%
- その他:中国43%、全体25%
学術出版における倫理ガイドラインの順守
・倫理ガイドラインの順守をやや難しい、またはきわめて難しいと感じている割合:中国人回答者:21%、全体の回答者:31%
剽窃
・「ソースを示さずに他者の言葉を言い換えることは剽窃である」と認識している割合:中国人回答者85%、全体の回答者73%。
・「他者の文章を言い換えることなく、または引用符を使うことなく使用するのは剽窃である」と認識している割合:中国人回答者91%、全体の回答者76%。
オーサーシップ
「論文の共著者にふさわしいのは、次のうち誰だと思うか?」という質問に対し、それぞれの人物を「ふさわしい」と回答した中国人回答者と全体の回答者の割合:
・研究の立案と実行、論文の執筆と最終承認を行なった研究者:中国94%、全体82%
・研究のための材料や設備を提供した同僚:中国49%、全体29%
・論文を編集/校正した友人:中国37%、全体22%
・所属先の部門長(”論文に必ず載せるべき人物だから”):中国17%、全体8%
・分野の著名な研究者(”アクセプトの可能性を上げるため”):中国11%、全体5%
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