科学者への市民の信頼度が向上:米国
ピュー研究所(ワシントンDC)が実施した調査によると、米国では、科学者に対する市民の信頼度が向上しているようです。この調査は、2019年1月に米国の50州およびワシントンDCを対象に実施されたものです。米国民が、軍首脳や政治家、ジャーナリスト、宗教指導者、企業役員よりも、科学者の方が公共の利益のために働いていると考えていることが明らかになりました。
4464人が回答したこの調査の目的は、研究者に対する国民の認識や考え方を把握することです。ピュー研究所は、栄養学、医学、環境学の分野で活動している「科学者への信頼や不信の潜在的要因に注目した」と述べています。
全回答者のうち、科学者を「信頼している」と回答したのは86%でした。78%という2016年の結果と比較すると、この数年で研究者に対する人々の信頼度がアップしていることが分かります。また、35%は「大いに信頼している」と回答しており、これも2016年の21%と比べて大きく上昇しています。これらの結果から、研究者に対する国民の信頼は、間違いなく向上していると言えるでしょう。
以下は、今回の主な調査結果です:
- 分野や産業を問わず、研究者が潜在的な利益相反について完全な透明性を持つと考えている回答者は、わずか20%だった。
- 回答者は、研究者よりも、患者に治療や指導を直接行う医師や栄養士などの専門家を信頼している。「医師の助言は正確」とした回答者が48%だったのに対し、「医学研究者の助言を信じる」と回答したのはわずか32%だった。同様に、47%が栄養士を信頼している一方で、栄養学者を信頼しているのは24%だった。
- 政策立案における科学者の役割に関する質問では、民主党支持者の73%が「科学者は科学関連政策の議論に参加すべき」と回答しており、共和党支持者の56%が「科学者は研究に集中すべきで、政策立案に関わるべきではない」と回答した。
- 研究不正を潜在的な問題と捉えていたのは、白人(42%)よりも黒人(59%)やヒスパニック(60%)の方が多かった。
また、科学に関する知識が多い回答者ほど、研究者への信頼度が高いことが分かりました。プリンストン大学の社会心理学者、スーザン・フィスク(Susan Fiske)氏は、「知識のある人が増えれば、その分だけ信頼度も高まるということでしょう」と述べています。加えて、オープンアクセスで出版され、独立した委員会がレビューを行なった研究への信頼が、より高いことも明らかになりました。
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