工学系研究論文を書く際に必ずやるべき4つのこと

工学系研究論文を書く際に必ずやるべき4つのこと

工学におけるエンジニア vs. 研究者

工学は、概して応用中心の分野と考えられています。そのため、応用の背後にある理論の重要性は低いとみなされ、工学分野の著者の中には、学術誌に掲載されるような論文を執筆することは困難だと思う人も多くいます。理論を応用する行為 vs. それを研究あるいは説明する行為の基本的な違いは、その取り組み方にあります。「エンジニア」と「学術研究者」の違いを認めることが重要でしょう。エンジニアは、新たな工学技術を導入あるいは適用することに秀でた工学産業の専門家であり、一方研究者は、新たな発見や、出版に値するような質の高いコミュニケーションができる人です。学術論文の原稿には、その主題を深く研究したことが示されるよう、「理論」と「研究」が含まれる必要があります。著者は、この両方の要素を理解することで、質の高い工学系の論文原稿を書くことができるはずです。

工学系論文を執筆する際に研究者が念頭に置くべき重要なアドバイスを、4つご紹介します。

1. 研究結果をできるだけ早めに分類する

工学系研究者の中には、研究結果の扱いに不慣れな人もいます。切迫した「必要」に迫られるまで、時には何年も研究結果の分析・分類を先延ばしにしている例もあります。これはリスクを伴う行為といえますが、その理由は次の通りです。第一に、技術の発達スピードが速いため、時間が経ってしまうと、データが無意味になりかねません。第二に、研究者は研究結果とデータをまとめるために、多くの実験を行わなければならないことがありますが、時間が経ってしまうと、データが失われたり、引き出すことができなくなったりする危険があります。最後に、研究条件は結果の解釈に大きな影響を及ぼしますが、研究結果の分類が遅れると、研究条件を正確に思い出して妥当な解釈を行うことができなくなる可能性があります。

2. データの量ではなく質を重視する

工学系論文を執筆する際によくみられる著者の思い込みに、「工学系論文には大量のデータが必要であり、原稿が長ければ長いほど良い」というものがあります。必ずしもテーマに関係があるとはいえないデータを過剰に含んでいる原稿を、査読の際によくみかけます。データは研究の一部分を構成するものであり、実のところ、工学系論文の原稿に膨大なデータは必要ありません。では、工学系論文に含めるべきデータとは何でしょうか?第一に、研究結果の主要な論点を示すのに必要なデータ(あるいは画像)を含めれば十分だということを覚えておきましょう。第二に、研究結果を裏付け、説明しているデータを含めるようにしてください。第三に、研究や実験の過程や手順を分かりやすくするデータを入れるようにしましょう。以上の方針に従った上で、更に追加した方がいいと思われるデータがあっても、排除してください。重要なのは、あなたの原稿の主要なメッセージに直接関連するデータだけを読者に示すことです。含める情報が増えれば増えるほど、読者を混乱させる可能性が高くなります。

3. データの背景にある理論を説明する

これは、先に強調した違いと関連しています。すなわち、エンジニアは研究を応用し、研究者あるいは論文著者は、応用の背後にある理論を説明します。工学系論文の著者は、自分の論文の読者は「結果」に関心があり、「どのような方法で、あるいはなぜそのような結果になったのか」には興味がないと思っている人が多くいます。しかし、学術論文は科学的探究という側面にまで掘り下げられるべきで、単にデータを示すだけでなく、ある程度の研究水準に達していることを示さなければなりません。重要なのは、データの背後にある「秘密」を抽出することです。これは、以下のような方法で行うとよいでしょう。

(a) 自分の研究テーマに関する文献を読み、本文中の適切な箇所でその文献を参照する。こうすることで、自分の分野の最新文献に慣れ親しむことができるだけでなく、自分の貢献がその分野にとって価値あるものだということを証明できます。

(b) 自分なりの仮定を提示し、データがそれを実証していることを示す。これは最も有益な説明の手段であり、インパクトファクターを上げるためには欠かせないものです。

 (c) データの説明や解釈について、考え得る全ての可能性を吟味し、最も合理的なものに焦点を定める。

4. 可能な限り最新の文献を引用する

工学分野は速いスピードで発展しており、画期的な発見が毎年発表されています。そのため、引用する文献は、最新で、関連度が高く、時代遅れでないことが重要です。この点に気を付けることで、学術誌編集者、査読者、著者の印象アップにもつながるでしょう。

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