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適切な研究課題の設定が論文掲載の第一歩!
論文がジャーナルに受理されるためには、論文執筆クオリティをあげるために英文校正を使用するなど、さまざまな方法がありますが、なによりも論文を執筆するときの第一のステップは研究課題の選択です。学問を進歩させ、科学と人類の研究に新たな基本的構成要素を付け加えられるようなトピックを選択することが重要です。研究課題のよくない論文をジャーナルの編集者が受理することは原則的にほとんどありません。
研究課題が明確に定義されていれば、研究者はより明晰な研究計画の展開、研究デザイン、データ分析ができるので、掲載の可能性も必然的に高くなります1,2。はっきり定義付けられた研究課題はジャーナルの編集者や査読者にも良い第一印象を与えます。反対に不明確な研究課題の論文はは、その研究が慎重に検討されたものではないという認識を与えるので、最も受理の可能性を下げる原因になります3。
1本の論文で1つ以上の研究課題を扱うこともできますが、一般的には1つの一番重要な研究課題に焦点を当てて書くことをおすすめします。それでは、「よい研究課題」とは何でしょうか。論文のタイプや学問分野の違いによって答えは様々ですが、あなたがシェイクスピアについて、幹細胞について、もしくはスチール加工について執筆していたとしても、念頭に置くべき共通の基準があります。
だから何なのか?
どんな研究課題も、この「だから何なのか」という問いをパスしなければなりません4。自分の研究課題に対してこの質問を問いかけてみて出てくる答えは、興味深く重要で、有意義なものでしょうか。研究で得られそうな成果を見定めたら、常に「だから何なのか」と自分自身に問いかけましょう。
- 実社会に応用可能、もしくはさらに進んだ研究の方向性を含む新情報を提示している
- 既存情報を裏付けし、一般化可能性や応用性が拡張される
- 既に文献に記載されている内容を否定する研究結果を提供している
- 既に文献に記載されている内容を注意深く再考し分析している
よい研究課題は、すで受け入れられている慣例や問題に批判的思考をしたり、新しい発想や方法を古い問題に適用したり、あなたの研究を他の人々へ教授したりすることによって生み出されます7。
複製(レプリケーション)は容認される・・・時々は
全ての論文が完全に未知の情報を提供しているわけではありません。例えば、他の研究者たちの観察記録が再現可能なのか(特に観察記録に議論の余地があったり説得力に欠けたりしていたが、重要な場合)や、ある集団に関する研究結果がその他にも適用できるのかを知ること、あるいは新しい方法論を利用して既知の関連性を明確にしたりすることは興味深いかもしれません。また、他の研究者たちによる研究結果を、彼らの限界を取り払い確証付ける研究もとても有益です7。
もしあなたの研究結果が以上3つの必要条件を満たしているようであれば、おそらくあなたは価値ある研究課題を見つけたのでしょう。
よい研究課題を見つけ明確にするためのコツ
臨床や実践経験は、自分の研究の興味と同じぐらい研究の方向を定めるうえで大事なのはいうまでもありません。同時に先行研究の十分な調査をして、自分の課題が的外れにならないよう確かめるのも欠かせない作業です。ほかの誰かがすでに研究したことをそっくりなぞることを避けるためにも、その分野での最新情報を仕入れておきましょう。近頃ではとてつもない量の研究成果が生み出されているので、これはありえない話ではありません。
また、先行研究を調べることから自分の研究課題を新たに見つけられることもあります。たとえば、論文のなかでも議論のセクションは、未解決の課題や、追加実験や今後可能性のある研究についてよく言及されています。とくに、誰かの研究の結論やその推論が多くの異論を呼んでいるという場合、その研究を反復してみて、その結果が正当だと検証することもできます4。つまり、よい研究課題は、先行研究に違和感や説得力の弱さをみとめたときに生まれてくるわけです。
そのほかにも、よい研究課題をみつけるための方法はたくさんあります。学会や研究会に出席するのもそのひとつです。特定の分野の最新情報は学会で発表されることが多く、その分野で活躍する研究者から、論文が出版される前に最新の研究成果を直接聞くことができます7。このように、学会への参加や分野でのネットワーキングは自分自身の研究に価値のある手段となることがあります。科学研究費制度による研究者募集をみて、科研費採択の可能性の高い研究アイディアを知ることもできます。
研究者がその段階と事情に応じて研究課題を定めることを目的に開発された、PICOT、PESICO、FINER3,8といったフレームワークがあります。たとえば、。これらのテンプレートを利用すると、研究者、とくに初心者の研究者は確立された方式でブレインストーミングを行ない、研究課題を確定するのに役立ててください。
PICOT: Population, Intervention, Control, Outcome, Time Frame
PESICO: Person/problem, Environments, Stakeholders, Intervention, Comparison, Outcomes
FINER: Feasible, Interesting, Novel, Ethical, Relevant
SPICE: Setting, Population, Intervention, Comparison, Evaluation
PICOTを使った研究課題の組み立て方
Source: Thabane et al. (2009)3
Source: Thabane et al. (2009)3 | Environment (E) |
Stakeholders (S) | Intervention (I) |
Comparison (C) |
Outcomes (O) |
n a 10-year old child with developmental disabilities and little or no functional speech but good fine-motor skills | who is currently attending a self-contained classroom and part-time included in regular class activities | whose interdisciplinary support team has determined to target manual signing as an appropriate mode of communication | what strategy is most effective or efficient for introducing manual signs | as compared to other strategies | in terms of expressive signing, and/or expressive natural speech, and/or receptive speech? |
Source: Schlosser, Koul, & Costello (2007)8
初心者の研究者は、よい師をもつことがとても重要です。研究経験が長く、しかも査読つき学術誌への出版実績のある年長の研究者は役に立つ助言をしてくれるでしょう。また、統計に強い同僚や先輩研究者も道しるべになってくれます。適切な母集団の規模、分析する単位、統計結果の決定要因を決める上で、重要な助言をしてくれるでしょう。
結論
研究課題はどのような学術論文でも不可欠な要素であり、出版プロセスの最初の最も重要なステップです。その論文に独自性や新規性がなく、予測可能で、取るに足らない成果しかないものは出版される見込みが低くなります。さらにいえば、あなたの研究が「誤ったモデルや研究の道筋を採ったものであり、仮説を検証するだけの意味がない形式を採っていたり、あるいは自信をもって結論づけるのにはあまりに材料が少ない」9場合は、論文の書き直しや校正も無意味になってしまいます。時間をかけて、明瞭な研究課題を仕上げることで、こうした困難を避けることができるでしょう。
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- Thabane L, Thomas T, Ye C, Paul J (2009). Posing the research question: Not so simple. Canadian Journal of Anaesthesia, 56(1): 71-9. doi: 10.1007/s12630-008-9007-4.
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