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科学の出版業界で英語が支配的言語である理由
英語のジャーナル数、出版物数、出版社数など、英語の優位性に関する統計データを探すのは簡単で、自明の理でもあります。こうした優位性を説明する一番の理由は、国際問題におけるアメリカの支配や大英帝国の遺産を単に反映しているから、というものです。いわゆるマタイ効果の最初の部分も効いています。つまり、「持っている者は与えられて、いよいよ 豊かになる・・・」ように、英語の豊かさ、引用メカニズム、インパクト・ファクターの高いジャーナルでの発表(たいていは偶然にも英語である)の競い合いを前提に、 優位性は続くでしょう。
時々指摘されるもう一つの理由は、英語の語彙の数だけでなく豊かさです。英語の単語数は測定が難しく、単語の定義によって異なります。例えば、規則複数形(chair/chairs, pen/pensなど)、同音異義語(‘a can of worms’ のような名詞のcanか、‘he can run fast’のような動詞のcanか)、活用形 (go/goes、view/viewed) は、別々の単語として数えるべきでしょうか?けれども、グローバル・ランゲージ・モニターの見積もりによれば、その数は百万を超えるとのことです。
英語は他の言語から単語を自由に借りてきており、これからもそれは続くでしょうから、語彙が豊かで変化もするのです。しかし、『科学にはグローバルな言語が必要か?英語と、研究の未来』の作者であるモンゴメリーはインタビューで次のように言っていました。「強調しておかなければならないことだが、英語の始まりは、英語自体の性質とは関係がなかった。主要な言語―フランス語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語、日本語―も同様であったように」。The World Atlas of Language Structuresの中には、何語が難しいか明らかにしようとした研究もたくさんありますが、英語がとりわけ簡単だという結果は得られませんでした。
英語が支配的な立場にあることを認め、英語で発表する努力を続けることが、おそらく研究者にとっての現実的な対処法でしょう。
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