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空約束で著者をそそのかすハゲタカジャーナル: ケーススタディ
事例: あるジャーナルから論文投稿の誘いを受けた著者は、言われるままに論文を投稿しました。その直後に編集者から届いたメールには、論文が次号に掲載される旨のほか、著作権譲渡書への署名、論文掲載料(APC)の支払い、原稿の最終版のアップロードを求める旨が書かれていました。学位取得のためにどうしてもアクセプト論文が必要だった著者は、進んで指示に従いました。しかし、その後数週間たっても、ジャーナルからの連絡はありませんでした。正式なアクセプトレターをジャーナル側に要求しても、「出版は確定しているので、その必要はない」という返答があるのみでした。しかし、出版された約束の号を確認すると、驚くことに論文は掲載されておらず、編集者に問い合わせても、返答はありませんでした。憤慨した著者は、エディテージに助けを求めました。
対応: エディテージの出版エキスパートは、以下の2点について、ジャーナルの質に問題があると判断しました。
・論文の出版を直ちに約束したこと
・投稿の時点でAPCを要求してきたこと
ジャーナルのウェブサイトを精査すると、質の悪い論文を掲載している疑わしいジャーナルであることが判明したため、ハゲタカ(またはその疑いがある)ジャーナルに騙されているという事実を著者に伝えました。支払ったAPCが返金される可能性は低いものの、このようなジャーナルに論文が掲載されてしまうと、自身の評判に傷を付ける恐れがあるため、論文を直ちに取り下げるようアドバイスしました。著者はその通りに取り下げを要求しましたが、ジャーナルからの返答はありませんでした。著者には、ジャーナルから取り下げの受領確認を受け取るまでは、(二重投稿とみなされる可能性があるため)別のジャーナルへの投稿を控えるよう伝えました。ただし、繰り返し問い合わせても返答がない場合は、ある期日をもって論文が取り下げられたとみなす旨を記載したメールを送るよう助言しました。その後、期日を過ぎても連絡がなかったため、著者は、これまでの経緯の説明と共に、別のジャーナルに論文を投稿しました。問い合わせに努めたことを示す証拠を求められたため、著者は、これまでの記録を速やかに提出しました。するとようやく編集者の納得が得られ、論文の投稿が認められました。
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まとめ: 偽りの約束で著者をそそのかすのは、ハゲタジャーナルの常套手段です。もっとも騙されやすいのは、学術出版の経験が乏しく、出版の仕組みを把握していない若手研究者です。彼らは、論文出版のプレッシャーにもっとも晒されている立場でもあります。ハゲタカジャーナルは、高額なAPCの請求や詐欺行為で利益をあげているばかりか、適切な査読プロセスも用意していません。このような悪質ジャーナルに論文が掲載されてしまうと、安易な論文発表を行なっている研究者とみなされ、キャリアに傷が付く恐れがあります。
著者は、偽出版社に警戒する必要があります。投稿前にジャーナルのウェブサイトを注意深くチェックして、信頼性を確認しましょう。また、自分の専門分野で信頼できるジャーナルについて、教授や先輩から情報を得ることも重要です。出版を確約したり、投稿の時点でAPCを要求したりするジャーナルは、要注意です。通常、APCは、査読が完了して正式なアクセプトレターが発行された時点で請求されます。
怪しげなジャーナルからアプローチされた経験はありませんか?ほかの研究者が同様の手口に引っかからないよう、その経験をぜひシェアしてください!
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