中国、「プランS」の導入でオープンアクセスを支持
中国の主要助成団体や図書館関係者が「プランS」の取り組みを支持し、参加の意思を表明しました。プランSとは、欧州の助成団体グループが提唱しているもので、公的資金による研究成果物を、出版段階で無料公開することを2020年までに義務付けるという構想です。
Nature誌の記事によると、国立科学図書館(NSL)、国立科学技術図書館(NSTL)、国立科学財団をはじめとする中国の主要機関が、プランSの支持を表明しています。これを受け、プランSの立案者であるロバート・ジャン・スミッツ(Robert-Jan Smits)氏は、「中国がこのプランへの参加を検討していることは知っていましたが、これほど早く明確な支持表明があったことは大きな驚きです」と述べています。
中国科学技術部(北京)でNSTL戦略立案委員長を務めるシャオリン・チャン(Xiaolin Zhang)氏は、中国がプランSを導入し次第、公的資金による研究成果物をすべて無料公開することを承認しており、「中国がオープンアクセスに関心がないという考えは誤解です」と述べています。中国のほとんどの論文が有料であることは事実ですが、チャン氏はこの状況が今後変わっていくことを確信しており、国内の研究者の科学論文へのアクセシビリティを向上させるために、中国が出版社と「read and publish」契約を結ぶ可能性があるとも指摘しています。
オープンアクセスに対する中国のこのような姿勢は、多くの出版社が予期していなかったものです。シュプリンガー・ネイチャーのダニエル・ローパーズ(Daniel Ropers)CEOは、「中国はオープンアクセスを、欧米ほど喫緊の課題とは捉えていないという印象がありました。しかし、そうでないのであれば、我々は喜んで協力します」と述べています。
オープンアクセスへの認識は中国でも高まりつつあります。この動きを支持する中国人研究者たちがいる一方で、プランSによって起こり得る出版界の変化を懸念する声もあります。公的資金を受けた研究が、有料ジャーナルや一部のハイブリッドジャーナルで出版されないことになれば、研究者たちはジャーナル選びに慎重にならざるを得ないからです。
中国は、プランSに沿った新たな方針をいつまでに実施するのか、そしてそれをどこまで厳格に順守するのかについては、今のところ具体的な情報を公表していません。
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