オンライン上の誤情報の制御に期待:最新研究
ノースカロライナ州立大学(NCSU)の研究者らが、誤情報がオンラインネットワークで拡散する要因についての研究結果を発表しました。研究チームは、今回の研究結果が、デジタル・ネットワークやソーシャルメディア・ネットワークにおける誤情報の制御に大きな役割を果たすことを期待しています。
研究によると、データの拡散を促す要因の1つはネットワークの規模ですが、より決定的な要因となっているのは、ネットワークの構造です。ネットワークの相互接続が多いほどデータの拡散は速くなりますが、ノード(結節点)の少ない、より大規模なネットワークでは、データの移動速度が遅くなります。つまり、ノード数の少なさが、データの高速伝達の阻害要因となっていることが明らかになったのです。また、研究チームは、ネットワーク内の特定のポイントを決めて新たなデータを取り込むための、アルゴリズムを考案しました。これにより、データがネットワーク内をより速く移動し、不正確な旧データが速やかに置き換えられます。
この研究結果は、私たちの日常に関わるものです。たとえば、コンピューターのセキュリティの脆弱性が検出された場合に、すぐにパッチを受け取れるようになります。あるいは、まとめてIoT(モノのインターネット)と呼ばれるデジタル・ウェアラブル、バーチャル・アシスタント、ホーム・オートメーション・システムなどのスマート家電の誤動作を防ぐために使うこともできます。
しかし研究者たちは、今回の結果は、デジタル・ネットワークやソーシャルメディア・ネットワーク上の誤情報の一掃に、より効果を発揮するものと考えています。論文の共著者であるNCSU電気・電子工学科のウェナイ・ワン(Wenye Wang)教授は、「IoTでもソーシャルネットワークでも、古い情報が循環していることで問題が生じる可能性があります。それは、古いセキュリティデータであろうと誤解を招く噂であろうと同じです」と指摘し、「私たちの研究は、ネットワーク上の古いデータを新しいデータに置き換えるための新たなモデルと、それに関する分析結果を提示するものです」と述べています。
WhatsApp、Facebook、Twitterなどのデジタル・ネットワークやソーシャルメディア・ネットワークの成長に伴って、フェイクニュースや真偽未確認の言説が急増しています。その増え方は、ネットワークの人気が高く規模が大きいほど急速であり、さらにこの急増は、悲惨な結果を招く危険性をはらんでいます。論文の第一著者でNCSUのポスドクであるジー・ワン(Jie Wang)氏は、「今回の結果は(中略)、一般社会に影響を及ぼす話題に関する正確な情報を広めることに役立つでしょう。たとえば、オンライン上の誤情報をなくす手段になるはずです」と述べています。
この研究結果についてどう思いますか?「インフォデミック(パンデミックに関する真偽未確認の情報が瞬時に拡散される状況を表す、WHOによる造語)」を招いている減殺の新型コロナウイルス感染症のパンデミックのような有事においても、誤情報の急速な拡散を防ぐのに役立つでしょうか。ぜひ、ご意見をお寄せください。
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